2017 Fiscal Year Research-status Report
New deployment of gas-selectable aerosol mass spectrometry for particle size and chemical analysis.
Project/Area Number |
17K12819
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Research Institution | Japan Automobile Research Institute |
Principal Investigator |
萩野 浩之 一般財団法人日本自動車研究所, エネルギ・環境研究部, 研究員 (90533737)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エアロゾル質量分析 / 有機エアロゾル / 光化学スモッグチャンバー実験 / 大気エアロゾル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,主に大気中のサブミクロン粒子のみの化学計測に用いられてきたエアロゾル質量分析法を応用し,従来法では困難であった粒径範囲の広げた化学組成解析を可能とする,「ガス選択型エアロゾル質量分析法」を確立し,環境動態解析ための環境計測法を新たに展開しようとするものである. (1)ガス選択型エアロゾル質量分析計の開発(パージガスの低消費化) ガス交換膜の孔径とパージガスの滞留時間の見直しを行い,パージガスの低流量化を図った.ガス交換能力は,カウンターフローデニュダの出口側にカルバニル電池式低酸素濃度センサーと体積流量制御が可能なポンプを設置し,空気中の酸素が除去されることを確認した.粒子の透過効率は,粒径の分かっている標準粒子(PSL粒子,粒径0.02~10um)を高効率ネブライザーと迅速サンプル導入システム(本研究備品として申請)で試料導入量の最適化を行いながら発生し,カウンターフローデニュダの入口と出口の個数濃度をSMPSで交互に測定し,ナノ粒子の透過率(損失)を評価した.この評価により,ナノ粒子の透過性を確保し,パージガス流量が最も少ないカウンターフローデニューダを選択し,エアロゾル質量分析計へ装着し,ガス選択型AMSとした. (2)ガス選択と空力学レンズの粒子透過特性の評価 (1)で開発したシステムと評価実験を利用して,大気の実態に近い成分でも性能を評価するため,大気粒子の水抽出成分に対しても測定する.カウンターフローデニュダに用いるガスは,He,N2,O2,空気,Arといったガス拡散係数の異なるものを用いた.これにより,ガス種(ガス拡散係数や平均自由工程)と空力学レンズにおける粒子透過特性に関する新たな学術的な知見を得た. 以上により,ガス選択型AMSを開発し,ガス種の切替えにより,測定できる粒径の範囲を切替え可能なシステムとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガス選択型エアロゾル質量分析法は構築できたが,性能評価実験がやや遅れている.試料導入部である,空力学レンズにおける粒子の透過率(損失)を各粒径のPSL標準粒子で評価する際,1umより大きい粒子の発生量が少なく,充分な感度が得られていないため,実験がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
ガス選択型エアロゾル質量分析法により,ガス種の切替えを行い測定できる粒径の範囲を切替え可能なシステムとし,室内実験や大気観測において,粒径別の化学組成解析の実証実験を行う.
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Causes of Carryover |
評価用の粒子発生装置を選定する際に,1um以上の粒子発生の安定確認が難しく,仕様を決定するのに遅れている.このため,物品購入は2018年度は行えず,次年度使用額が生じた.2019年度に仕様を改めて選定し直し,購入予定である.
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