2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな生態毒性試験法の開発 ~生態毒性学と分子生物学の融合~
Project/Area Number |
17K12828
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
堀江 好文 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (60785137)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | メダカ / 生態毒性 / 性分化 / 性転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、男性ホルモン作用のある化学物質のばく露によって魚類の「胚期」にその発現が誘導され、かつ、性決定遺伝子カスケードであるGsdf遺伝子を指標とすることで、化学物質の「性別」への影響を予測する、高解像度かつ簡便な新たな生態毒性試験法の開発を目的とする。初年度は、従来の生態毒性試験法を用いてメチルテストステロン(男性ホルモン)がメダカの性別に影響する濃度を明らかにするため、メダカを用いた魚類性発達試験(OECD TG No. 234)を行った。これまでの先行研究から試験濃度は、対照区、32、100、320、1000、3200 ng/Lに設定した。試験期間中の死亡率について検討した結果、全ての濃度区で対照区を比べて有意な死亡率の増加は認められなかった。次に、生殖腺の組織学的観察を行い、卵精巣や性転換(遺伝的メス→機能的オス)の発生の有無について検討した結果、32 ng/L濃度区においても全ての個体が遺伝的メスから機能的オスへと性転換していた。対照区では、異常な生殖腺を有していた個体は認められなかった。以上の結果から、メチルテストステロンは32 ng/Lという非常に低濃度でもメダカの性別に影響を与えることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、メダカを用いた魚類性発達試験(OECD TG No. 234)を行い、対照区と比べて死亡率の増加や成長阻害が認められない32 ng/Lという非常に低濃度でもメダカの性別に影響を与えることを明らかにできたため、研究計画は概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、メチルテストステロンがメダカの性別に影響しない無影響濃度を明らかにするとともに、性転換誘導のプロセスを明らかにすることで、Gsdf遺伝子が化学物質の「性別」への影響を予測する指標となるかを明らかにする。
|
Research Products
(1 results)