2019 Fiscal Year Research-status Report
微細藻類を用いた廃糖蜜蒸留廃水中の天然色素処理機構の解明
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17K12832
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 愛 茨城大学, 農学部, 研究員 (30724207)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 好酸性微細藻類 / 分離株の確立 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境中から獲得した136株の18S rRNA遺伝子V4領域配列により同定を行った.解析した57株すべて(環境試料TH05,TH06由来)が好酸性の微細藻類であるChlamydomonas eustigma NIES-2499株と最も相同性が高かった.これらの株は重金属汚染されている酸性河川から報告されたものとも近縁であり (Amaral-Zettler et al. 2011) ,バイオエタノール廃水処理のみならず重金属を含む廃液処理にも応用できる可能性が示された.また,一部の株をより長い配列(1,116~1,119 bp)により同定したところ,TH05とTH06から分離されたclone TH05-26とclone TH06-60はChlamydomonas acidophila CCAP 11/133株により近縁であった.一方,TH01から分離されたclone TH01-10はChloroidium angustoellipsoideum CCAP 211/108株に近縁であり,他の2試料から分離された株とは系統的位置が異なった.そのため,clone TH05-26やclone TH06-60とは異なる廃水処理特性を示す可能性があることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
微細藻類の単離・培養に時間を要し,バッチ実験を行うバイオマスの獲得が出来なかった.また,本課題に割けるエフォートが本来よりも少なくなった.
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Strategy for Future Research Activity |
培養により分離株のバイオマス量を確保した後に有機物耐性,アンモニア耐性,メラノイジン耐性等の特性によりスクリーニングを行う.その際に,有機物,アンモニア,メラノイジンの除去率も評価する.場合により,保持している株以外の微細藻類株を入手し,同様の実験を行う. 可能であれば,各培地で培養した際に発現している遺伝子をRNA-Seq解析し,微細藻類の活性に関する遺伝子のうち発現量が大きく変動しているものを抽出する.
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Causes of Carryover |
微細藻類の単離・培養に当初よりも時間がかかり,計画の変更が必要となった.その結果,当初予定していたよりも物品や試薬の購入が少額となった.未使用額は最終年度に行う培養装置の作成や,遺伝子解析費用に支出する予定である.
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