2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a soft ionization method using inert gas for non-target analysis of environmental samples
Project/Area Number |
17K12833
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
家田 曜世 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 研究員 (40761078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ノンターゲット分析 / ソフトイオン化 / 精密質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、環境中に存在する化学物質の測定には、ターゲット分析が用いられてきた。しかし近年、化学物質の種類は増え続けており、多様化する化学物質を網羅的に把握可能なノンターゲット分析のニーズが高まっている。これまで包括的な化学物質計測手法の構築の一環として、GC×GCによる高分離とHRTOFMSの高い検出力を組み合わせ、環境試料ノンターゲット分析手法を開発してきた。しかし従来の電子イオン化(EI)法では、分子イオンが検出されにくい化合物は定性が難しいこと、微量の化合物は膨大なマトリックスに埋もれてしまいデコンボリューションでも分離が不可能であること等、課題が残った。 そこで本研究では、新たなソフトイオン化法を検討し、環境試料中に存在する有機ハロゲン化合物の分子イオンの高感度検出の実現を目的とした。従来から知られているCH4を試薬ガスに用いた化学イオン化(CI)法では、様々な付加イオンが生成してしまい、分子イオンの識別が困難なことがある。しかし未知化合物の同定も行うノンターゲット分析においては、分子イオン検出が鍵となるため、本研究では「不活性ガス」を使用し、有機ハロゲン化合物の分子イオンを従来法よりも高感度かつ高選択的に検出できる手法を開発した。 3種の試薬ガス(CH4,Ar,He)を用いて実験を行い、高塩素化合物について解析を行った結果、①イオン源温度を低く設定することにより分子イオンを高感度に検出することが可能、②不活性ガスを用いると分子イオン量に対するフラグメントイオン量は減少する、③Arを用いた時に分子イオンの強度がもっとも高くなる、等が明らかとなった。3種の試薬ガスのための最適条件をそれぞれ決定し、ハウスダスト粗抽出液を測定してデータを比較した結果、今回開発したArによる条件を用いた時に最も有機塩素化合物が多く検出されることがわかった。
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