2017 Fiscal Year Research-status Report
アニリニウムイオンの特異的イオン対形成を利用した高選択的ロジウム回収剤の開発
Project/Area Number |
17K12835
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松本 和也 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (70467025)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロジウム / 白金族金属 / 芳香族第一級アミン / イオン対 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ロジウムを高効率かつ選択的に回収可能な芳香族第一級アミン化合物の探索とロジウム回収機構の解明を目的としている。自動車排ガス浄化触媒からのロジウム回収を達成するため,パラジウム,白金,ロジウムを含む塩酸溶液からのロジウム選択回収を目指す。 平成29年度はロジウム回収可能な芳香族第一級アミン化合物の探索を行い,4-アルキルアニリンや4-フェノキシアニリンといったアミン化合物が塩酸溶液中のロジウムとイオン対を形成し,ロジウムを沈殿として回収可能であることを見出した。また,塩酸溶液にパラジウムや白金を含む場合においても,これらのアミンを沈殿剤として用いることでロジウムのみを選択的かつ高収率で沈殿回収できることが判明した。有機溶媒としてクロロホルム等を添加した場合,これらのアミンが沈殿剤ではなく抽出剤としてはたらき,有機相にロジウムのみを移すことにも成功した。 金属の沈殿回収率と塩酸濃度の関係を調べたところ,低濃度の塩酸溶液中ではパラジウムや白金が沈殿として回収され,ロジウムの沈殿はほとんど見られなかった。一方,高濃度の塩酸溶液中ではロジウムの沈殿のみが回収され,パラジウムや白金は沈殿を形成しなかった。この結果は,パラジウムや白金とアミン化合物が形成するイオン対は高濃度塩酸中では不安定であるため解離し,沈殿が形成されないのに対し,ロジウムは高濃度塩酸中でもアミン化合物と安定なイオン対を形成することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロジウムを沈殿回収可能なアミン化合物を見出すことができ,パラジウムや白金を含む場合においても選択的なロジウム沈殿回収を達成することに成功した。また,アミン化合物を抽出剤としたロジウム選択的な溶媒抽出にも成功した。ロジウム選択的な回収には,金属とアミン化合物が形成するイオン対の安定性の違いが大きく寄与していることが示唆された。これらは,申請書記載の計画通りの進展であり,研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ロジウム選択的な回収はイオン対の安定性に起因するものと考えられるため,ロジウムとアミン化合物が形成するイオン対の構造を詳細に解析する。アミン化合物の分子構造とロジウム回収率の関係を精査し,ロジウム回収剤の分子設計指針を確立する。実用的なロジウム回収技術にするため,イオン対からのロジウム脱離や回収剤としてはたらくアミン化合物の繰り返し利用を検討する。
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