2017 Fiscal Year Research-status Report
世界遺産・知床のダムが餌資源供給の季節性の変化を介して淡水魚の生活史に及ぼす影響
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17K12839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐橋 玄記 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (90791799)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サケ科魚類 / 世界遺産 / 知床 / ダム |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の論文や報告書を元に、知床における砂防ダムの設置状況、並びに改良工事の進捗状況を整理した。また、調査地の知床の河川では、他の研究者や環境コンサルタントの調査員が研究及びモニタリング業務を行っているため、互いの研究と業務に支障をきたさないように、事前の打ち合わせを進めた。さらに、平成29 年度(2017 年度)第1回知床世界自然遺産地域科学委員会河川工作物アドバイザー会議を聴講し、知床世界遺産地域における今後の砂防ダム改良工事の方針や予定について理解を深めた。それらから得られた情報を踏まえ、次年度以降に野外調査を行う候補となる河川の選定を完了させた(野外調査によってカラフトマスの産卵の可否とオショロコマの生活史形質の関係を調べる河川)。 オショロコマの繁殖時期に、砂防ダムの改良が予定されていた1河川で、電撃捕魚機を用いてオショロコマのサンプリングを行った。サンプリングはダムの上流と下流の両方の区間で行い、併せて2pass除去法によって各区間の生息密度推定も行った。採捕された個体毎に体サイズの計測、雌雄判別と成熟の有無の確認を行った。成熟メス1個体あたり卵を約10粒採集し、5%ホルマリン液に保存した後、卵サイズ指標の卵重量を1粒ずつ計測した。 研究課題に関連する内容について、投稿論文を2本執筆し、いずれも国際誌に受理された。また、研究課題に関連する内容について、国際学会1件、国内学会3件で発表を行うとともに、学会奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査河川の選定と一部の河川調査がおおむね予定通り完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の予定通り、野外調査によってカラフトマスの産卵の可否とオショロコマの生活史形質の関係を調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
備品購入のための選定作業が少し遅れているため。
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Research Products
(6 results)