2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K12842
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 博徳 九州大学, 工学研究院, 助教 (00599649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 伝統工法 / 石造り堰 / 護床工 / 災害復旧 / 空石積み / H29年7月九州北部豪雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年およびH30年には、いずれも研究対象地において、大きな出水イベントが起こった。H29年度の出水では石造りの護床工一基が被災し、H30年度の出水においても堰機能を有する石造りの護床工一基が被災した。H30年度はこれらの被災した石造り護床工の内部構造を詳細に把握する調査を重点的に行った。石造り護床工の内部構造の把握については、研究申請時には対象としていなかった(構造物を壊さないと内部構造が把握できないため)が、今回の被災によって偶然にもその内部を把握する機会を得たため、項目を追加して重点的に調査を行った。被災した堰の内部構造調査により、①護床工の石の控え厚さや積み方、②裏込め材の層厚やその粒径や積み方、③護岸と護床工との接続部の構造、④石積み護岸控え厚さや裏込め材構造などが詳細に明らかとなった。前年に行った被災前の地形測量と併せて、石造り護床工とその周辺構造物(護岸)の構造が3次元的に整理できた。また、H29年度に被災した堰の復旧事業において、上記の調査結果を活かした石造り護床工の設計及び施工に取り組み、河川管理者および施工業者の協力のもと現地に竣工した。さらに、石造り護床工のエネルギー減勢機能に関する水理実験(1/50スケール)を行い、その水理特性を明らかにした。具体的には、同様の条件(同勾配、同じ形状)のコンクリート構造の堰と比較して、射流越流時の流速が半分程度となることや、支配断面から跳水位置までの距離が半分程度となること等を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通り進展している。しかしながら、平成29年に続き平成30年にも当該地は大きな出水イベントに見舞われた。2年連続で研究対象とした構造物が被災し、計画通りに調査研究が行えなかった部分も多い。一方で、出水時にしかとることができない貴重な観測データや、被災したことにより構造物の内部構造に関する知見や情報を得る機会を得たことは大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり、研究対象地は平成29年度に続き、平成30年度も大きな出水ベントに見舞われた。その影響により研究成果の方向性についても変化が生じるものと考えている。今後は、出水時の観測データを活用したものや、被災構造物の内部構造に関する調査により得られた知見を活かしたものに重点を置いて研究展開していきたいと考えている。具体的には、多くの構造物の機能を広く把握するのではなく、貴重な情報が得られた石造りの護床工の有する機能についてより深く考察することに注力して推進していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究対象地が豪雨により被災し、H30年度に予定していた現地調査計画が変更(一部延期)となったため。
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