2017 Fiscal Year Research-status Report
野生動物による生態系改変のEcological memoryの定量評価と応答予測
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17K12843
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高木 俊 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (10637424)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 野生動物管理 / 間接効果 / 履歴効果 / シカ / 土壌動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は主に次年度以降の調査・分析の基盤情報の整備と予備調査解析を行った。 兵庫県におけるシカ密度の推定モデルを構築した。これまで地域別で集計した糞塊密度(ルート1kmあたり糞塊発見数)・目撃効率(銃猟1人日あたり目撃数)をもとにした広域スケールでの推定値が得られていたが、これを捕獲数統計の集計単位である市町村レベルにまで解像度を上げたモデルを構築した。このモデルでは、目撃効率に含まれていた積雪に伴うバイアスの除去、わなによる捕獲効率(100わな日あたり捕獲数)の密度指標としての利用を検討し、これらをモデルに組み込むことで推定精度の向上を図っている。市町村レベルでの動態推定の結果は、特定鳥獣保護管理計画の策定のための資料として兵庫県に提供した。本研究の解析で必要となる5kmメッシュレベルでの個体数密度については、市町村別の推定値と調査地周辺で観測したモニタリングデータとの関係から間接的に推定可能となった。 下層植生の既存データを用いてEcological memoryを考慮したモデルの解析を行った。既存データとして整備されていたシカの密度指標である目撃効率と下層植生衰退度の関係性の解析を行い、強い履歴効果が検出された。また、目撃効率の動態予測シナリオに応じた下層植生の応答予測モデルを構築した。 土壌動物群集の広域調査を行った。29年度は100地点を調査地として選定し、予備調査を行った。調査方法は一部変更し、ハンドソーティング法による群集構造調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた、個体群動態の推定、影響評価モデルの構築、動物群集の予備調査についてそれぞれ一定の成果は得られている。 個体群動態の推定については当初想定していたよりも基盤データの整備状況が不完全であったため、そのデータ整備に時間を費やした。時間的な制約から、29年度は5kmメッシュレベルの推定については、市町村レベルでの推定値から間接的に求める状態にとどまっているため、新たにデータが得られる30年度にも引き続きモデルの改良を行う。 影響評価モデルの構築については、いくつか存在する調査項目のうち、下層植生衰退度への影響を解析した段階である。残りの観測項目についてのモデル構築は30年度に行う予定である。 土壌動物群集の調査については、調査予定時期に悪天候が重なったため、調査の実施が遅れたものの予定通り100地点を選定した。調査方法については、当初想定していた方法よりも、より広い土壌動物群集を採集可能なハンドソーティング法で行うこととした。サンプルの同定がすべて完了していないため、引き続き調査結果の分析を行い、30年度の本調査に反映させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度に実施しきれなかった解析項目については、30年度の前半には概ね完了予定である。30年度は調査を主な研究実施項目としているが、予備調査の結果を十分に反映させることで、効率的に調査を遂行する。
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Causes of Carryover |
調査日程の変更等の理由により、29年度の計画の一部が30年度に移行した。繰越分は30年度の調査計画において執行予定である。
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Research Products
(3 results)