2017 Fiscal Year Research-status Report
照明による光刺激が海鳥の生理状態や行動に及ぼす影響の解明
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17K12845
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
白井 正樹 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (30758660)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光害 / 動物生理 / 海洋保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、実験的アプローチや野外観測技術を用いることにより、海鳥が照明に誘引される直接的なメカニズムを明らかにすることである。照明に誘引されることが知られているオオミズナギドリの巣立ち雛と誘引されないオオミズナギドリの親鳥とウミネコを対象に、本年度は観測・実験用のシステム構築および対象種の行動・形態データの取得を行った。 サーモグラフィカメラ、高感度カメラ、暗視スコープを用いて、繁殖地で帰巣するオオミズナギドリを観測し、映像を比較した結果、飛翔するオオミズナギドリの夜間観測に適した機器としてサーモグラフィカメラを選定した。また、小型のサーモグラフィカメラを応用し、熱映像を取得して連続的に生理状態を観測しながら、対象個体の光刺激に対する反応を評価する実験迷路を作成した。 野外調査としては4月に新潟県村上市を、6月に新潟県粟島を訪れ、それぞれウミネコとオオミズナギドリの繁殖状況を確認した。5月から7月まで村上市沿岸で継続的にセンサスを行い、ウミネコによる沿岸の利用状況を調べた。その結果、夕方以降に沿岸を利用する個体が増加することを明らかにした。また、照明に誘引され落下したオオミズナギドリの巣立ち雛の死体を計測した結果、親鳥に比べて体サイズが小さいことを確認した。今後、巣立ち直前の雛の体サイズと比較することで、照明に誘引される個体の形態的特徴を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではオオミズナギドリの巣立ち雛の照明による誘引が例年100個体以上観測される新潟県粟島で飛翔観測および誘引個体を用いた実験を行う予定であった。観測・実験用の計測システムの構築は計画通りに実施されたが、当該年度はオオミズナギドリの誘引および落下がほとんど観測されなかった。これは風況等の影響によるものと考えられるが、これにより解析にのための十分なデータを確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
野外における観測・実験用の計測システムは既に構築済みであり、今後はこれらのシステムを用いた野外調査を進めていく。また、来年度以降十分なサンプルサイズを確保するために、照明に誘引された巣立ち雛だけでなく、繁殖地の巣立ち直前の雛も光刺激実験の対象に加える。
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Causes of Carryover |
当該年度は照明によるオオミズナギドリの誘引がほとんど発生せず、野外での観測および実験のための旅費と人件費が計画より減額となり、当該助成金が生じた。来年度は翌年度の研究費と合わせ、観測・実験期間を延長して調査を行う予定である。
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