2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of artificial lights on physiological status and behavior of seabirds
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17K12845
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
白井 正樹 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (30758660)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光害 / 行動観察 / 海洋保全 / 海鳥 / 誘引 / ステレオ撮影 / 海洋生態系 |
Outline of Annual Research Achievements |
海鳥の一部の種では、夜間に光刺激を受けると光源の方向に誘引されることが知られている。誘引されて地面に落下した個体は、イエネコに捕食されたり車にひかれたりするリスクが伴う。光刺激による誘引は、鳥類が人工光を餌と混同したり、照明によって飛行中方向を見失ったりするなど、鳥類の採餌や移動における意思決定に影響して発生することが指摘されているが、明確な証拠は得られていない。本研究では、実験的アプローチや野外観測を通じて、海鳥が照明に誘引される直接的なメカニズムを明らかにすることを目的としている。 昨年度までの研究で、オオミズナギドリの巣立ち雛の落下地点近くの街灯には、蛍光ランプが使用されていることを明らかにした。そこで本年度は、光刺激がオオミズナギドリの行動に与える影響を採餌や飛行と切り離した環境下で評価するため、伊豆諸島の利島内にあるオオミズナギドリの繁殖地内に蛍光ランプとLEDを設置した。雛の巣立ち直前となる10月下旬から11月上旬に光源周辺の様子をビデオ撮影することで、雛の光刺激に対する行動応答を観測した。 その結果、蛍光ランプ、LEDともにオオミズナギドリ雛の接近行動が確認された。また、光源へ接近する速度は、通常の歩行速度に比べて速かった。一方、光源ごとの接近の頻度や速度に明確な違いは確認されなかった。これらの結果から、光刺激によるオオミズナギドリの誘引は、採餌や飛行と切り離された環境下でも発生することが示唆された。
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