2017 Fiscal Year Research-status Report
Construct of effective biorefinery process using butanol- dilute acid pretreatment.
Project/Area Number |
17K12850
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寺村 浩 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 助教 (10645089)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物バイオマス / 成分分離 / セルロース / ヘミセルロース / リグニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物バイオマスを構成する主成分であるセルロース、ヘミセルロースを高効率で利用することを可能とする技術の確立を目的としている。平成29年度は、(1) 成分分離法の条件が成分分離の効率に与える影響の解析、および(2) 成分分離に用いた疎水性アルコールの効率的な回収法の確立を行った。 (1) 成分分離法の条件が成分分離の効率に与える影響の解析では、アルコール添加量、硫酸添加量、反応時間、反応温度が、植物バイオマスの主成分の分画効率に関わることを明らかにした。また、最も分画後のセルロースの精製度が高くなる反応条件も明らかにした。この精製度が高いセルロースは、少量の酵素により高効率でグルコースに分解されることも明らかにした。加えて、反応条件を制御することによって、多様な精製度のセルロースを作出することを可能にした。 (2) 成分分離に用いた疎水性アルコールの効率的な回収法の確立では、成分分離後の液体画分に含まれるアルコール(ブタノール)をナノフィルトレーション膜を用いて分離することが可能であるか解析した。その結果、液体画分から98.6%のブタノールを分離することができた。このことから、ナノフィルトレーション膜を用いることで、ブタノールの分離が可能となることが示唆された。また、ブタノールを含む液体画分は、アルコール発酵の原料として利用することは不可能であったが、ブタノール分離することにより液体画分をアルコール発酵の糖源として利用可能になった。 以上の成果を取りまとめ、論文発表(1件)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、植物バイオマスの成分分離の効率に関わる因子を明らかにし、セルロースの精製度を最大にする反応条件を明らかにした。また、ナノフィルトレーション膜を用いることでブタノールの分離が可能であることも明らかにする等、計画通りの成果を得た。これらの研究結果をまとめ、論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、得られた結果を基に、実用化に必要な知見を得る。まず、平成29年度に決定したセルロースの精製度を最大となる成分分離の条件が、モデル植物以外のバイオマスに適用できるか明らかにする。また、分離後のセルロース及びリグニンについて、使用法を想定した物性の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画では、成分分離後のリグニンの回収率および回収後のセルロース及びリグニンの重合度を解析する予定であった。しかし、上記の様に成分分離に関わる因子に関する解析を行った結果、論文発表に資する成果が得られた。そのため、これらの研究成果を早急に論文として取りまとめる必要があると考えられた。このため、セルロースの精製度および液体画分からのブタノールの分離に関する知見の集積に注力し、成分分離後のリグニンの回収率および回収後のセルロース及びリグニンの重合度の解析を次年度以降に行うこととした。そのため、平成29年度の予算執行の一部を平成30年度に行うこととなった。 平成29年度に行う予定であった、成分分離後のリグニンの回収率および回収後のセルロース及びリグニンの重合度の解析を、平成29年度へ繰り越した予算を用いて行う。
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Research Products
(1 results)