2018 Fiscal Year Annual Research Report
Construct of effective biorefinery process using butanol- dilute acid pretreatment.
Project/Area Number |
17K12850
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
寺村 浩 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 助教 (10645089)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物バイオマス / 成分分離 / セルロース / ヘミセルロース / リグニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物バイオマスの実用的な前処理技術の確立を目的としている。平成29年度までに、植物バイオマスから高効率でリグニンを除去可能なブタノール前処理方法を確立することが出来た。平成30年度では、確立した前処理方法を用いて得たセルロース成分が実用的であるのかの評価を行った。 (1) まず、前処理後のセルロース成分の酵素による分解効率の解析を行った。植物バイオマスのセルロース成分は、食料と競合しないブドウ糖の原料として注目されている。そこで、既存の前処理方法(希硫酸前処理法)と本研究で確立したブタノール前処理法を用いて同じ植物バイオマス(ソルガム)を処理し、得たセルロース成分を用いて酵素分解の効率を解析した。その結果、ブタノール前処理後のセルロース成分では、90%以上のセルロース成分を分解することができた。一方で既存の前処理後のセルロース成分では、セルロース成分の分解効率は40%であった。このことから本研究で確立した前処理後に得られるセルロース成分は非常に有用なグルコースの原料であることを明らかにした。 (2) つぎに、前処理後のセルロース成分がセルロースナノファイバーの原料として使用可能かの解析を行った。セルロースナノファイバーは、近年開発された、セルロース成分を微小化することで得られる素材である。非常に高い強度を有し、再生可能であることから、有用な素材として注目されている。植物バイオマスに含まれるセルロース成分をナノファイバーとして利用するためには、精製を行う必要があることが知られている。そこで、ブタノール前処理後のセルロース成分を用いて、ナノファイバーを作製したところ、高い強度を有するナノファイバーの作成に成功した。これらの結果は、ブタノール前処理法が簡便にナノファイバーの原料を調製可能な技術であることを示している。 以上の成果を取りまとめ、現在論文を執筆中である。
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