2019 Fiscal Year Annual Research Report
Missing link between marine protected area and drug trafficking - Toward the study of "protected area for the crime deterrence".
Project/Area Number |
17K12863
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
武田 淳 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (00779754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リスク社会 / 人新世 / 自然保護区 / コスタリカ / エコツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
中米地域は、生物多様性のホットスポットと呼ばれ、豊かな生態系を維持するために、各国は国立公園などの自然保護区を整備してきた。他方、ドラッグの生産地である南米と消費地である北米に挟まれた中米は、地政学的に麻薬ビジネスの影響を受け続けてきた。このような中、両者には関係性があり、中米の自然保護区が麻薬取引の現場として利用されていることが指摘されている。 そこで、「なぜ、自然保護区は麻薬取引の現場として利用されてしまうのか」という問いのもと、本研究は中米コスタリカを事例に実証研究を行ってきた。その際、とりわけ被害が集中している海沿いの自然保護区にフォーカスして、①コスタリカにおける海洋保護区制度の構造について文献調査を行うとともに、②保護区管理の実情を把握するために現地調査を実施してきた。 その結果、コスタリカの海岸線の52%が自然保護区に指定されているが、そのほとんどが人の居住を認めない極めて規制の強いタイプの保護区であることがわかった。換言すれば、コスタリカの海岸線の半分近くが、人口の空白地帯になっており、そのことが「人目につかない場所」を犯罪者に提供する余地を生んでいることがわかった。本研究の結論は、コスタリカでは(現状の制度の)保護区を作れば作るほど、麻薬取引も増える可能性があるということである。 そこで、研究の後半では、今後の研究への足掛かりとして、「保護区の治安をどのように解決していけばよいのか」という課題に着手した。そこで注目したのが観光である。というのも、保護区の治安が悪くなる一方で、保護区を訪れる観光客は増え続けている実態があるからである。「平和でなければ観光は成り立たない」という一般論とは裏腹に、観光が維持されているのは、観光自体に平和を生み出す何らかの仕組みがあるからなのかもしれない。このような問いのもと、本研究は次なる研究課題へとつながる基を築いた。
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Research Products
(4 results)