2018 Fiscal Year Research-status Report
集落土地利用史の変遷にみる伝統的デザイン手法 沿岸漁村における防災・環境デザイン
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17K12865
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
佐藤 布武 名城大学, 理工学部, 助教 (60785525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 津波 / 集落 / 漁村 / 三陸沿岸 / 土地利用 / 景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の伝統集落の分析により地域特有の風土への適応手法を評価するものである。三陸沿岸南部、同北部、南海トラフ地域という3カ所を研究対象地として設定し、年次ごとに研究を蓄積する計画としている。 平成30年度は、平成29年度の調査結果を受けて選定した、三陸沿岸南部地域の調査結果の整理を行った。選定した宮城県石巻市雄勝町大須浜集落は、①急峻な斜面上の高台に位置している。平成29年度に実施した過去の土地利用調査結果を受け、それら建造物が現代の集落景観にどのような影響を与えているかの景観調査を実施した。その結果を受けて、大須浜景観ハンドブックを作成した。平成31年度に印刷・配布を予定している。 また、岩手県から青森県にかけての巡検調査を実施することで、②比較的緩やかな斜面地を開発してきた歴史を持つ集落として、岩手県大船渡市広田半島根岬集落を対象として選定した。同地区は、明治と昭和の津波で甚大な被害を受け、宅地を高地に移し、今次津波での住宅被害がなかった地域である。同集落の明治から昭和にかけての集落土地利用調査を実施した。。その結果、過去の津波被害からどのように集落形態が変化してきたのか、また、どのような建造物が現存しているのかを把握し、津波に強い柔軟な土地利用の実態を明らかにした。 また、平成30年度の重点調査地域である中南海トラフ地域の巡検調査を実施した。その結果、過去の災害からの復興を経験している複数集落を研究対象候補として選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している。 研究代表者の単独研究のため研究成果の発表回数は限られているが、調査・研究の進捗は当初想定通りである。平成29年度の研究機関の変更に伴う研究の若干の遅れは、平成30年度の研究によりある程度取り戻せた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の年次計画通り、三陸沿岸地域北部の研究を実施し、中南海トラフ地域の対象選定を始めている。本年度は中南海トラフ地域の研究を重点的に実施するとともに、三陸沿岸の南北集落の調査結果のまとめ作業を行う。 平成29年度の重点研究地域の三陸沿岸地域南部の研究の整理も進み、研究成果の社会への還元としてブックレットを作成した。一方で、平成30年度、平成31年度の地域に関しては、本年度、これまでの研究成果をまとめた一つのブックレットを作成する形とする。研究対象地域の研究協力者に配布する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に研究機関が変更になったことに伴い、平成29年度および平成30年度の研究にかけられるエフォートが相対的に減少した。平成31年度は所属の変更もなく研究環境も整っため、順調に予算執行できる見通しである。
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Research Products
(3 results)