2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12869
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ベクション / デザイン / アート / 心理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
心理学とアートの融合として、現代美術家の雨宮庸介氏と、2018年 3月26日から一週間の間に、渋谷のヒカリエとい う大型施設の8階において、美術展示「びゅーVIEWビュー展」を開催した。雨宮氏をはじめとする7名の視覚イメージのプロへのインタビューを元にした、論文を日本視覚学会の学術誌VISIONにて掲載した。アートと心理学をつなぐ架け橋として、心理学者としてのこれまでの妹尾の一連の取り組みをアーティストに評価してもらった。ここで、一定の評価を得られたことで、活動への自信を得るとともに、今後の活動の指針が得られた。さらに現代美術家の斉と公平太氏とも、議論を交わし、その一部を『感覚・知覚心理学 (シリーズ心理学と仕事)』(北大路書房)にて、書簡の交換のような形でベクションを軸に据えた議論として、本にし、出版を行った。 ベクションの新しい提示方法を報告した論文と、ハンドグリッパーの握り込みによるベクションの意図的な抑制方法の開発、ベクション刺激の提示時間の伸長が、ベクション強度を高めるという報告を、2017年に報告したベクションの数理モデルに沿って説明する試み、これらが国際査読あり論文として刊行された。 これに加えて、光学という雑誌への招待解説論文を一本執筆した。 国内での口頭学会発表は10件を超え、国際学会でのポスター発表も、7件を数えた。うち一件で、発表賞(IWIN2018 Student Award)を受賞した。KAIT International Symposium 2018 では、神奈川工科大学において、招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度は、国際査読あり学術誌に4本の論文を刊行し、国際学会でのポスター発表を7件、 国内学会の口頭発表も10件以上、国際シンポジウムでの招待講演を1件、その他、アートと心理学をつなぐためにとても重要となる日本語論文を一本刊行できた。雨宮氏との展覧会も成功し、斉と公平太氏との本も出版出来た。多方面にバランスよく、学術界のみでなく、アート界にも着実に進出できたと言える。一方で、心理学の基礎実験の成果はまだまだ論文として発表できた可能性はあるし、アート方面への訴求力も十分であるとはいえず、まだまだベクションは知られていない。我々の取り組みも周知が十分ではない。Youtubeにアップロードした我々のベクション動画の再生数は2019年の3月末日時点で7300回程度であり、一万にも届いておらず、10万、100万回の再生にはまだまだ遠く及ばない。 学術、アート、双方の活動が不十分であり、もっと精力的で、かつ着実な周知活動、啓蒙活動、一般人への訴求力の拡大、魅力的な活動づくり、が必要であると切実に感じている。新しいデザインとしてのベクション、が持っている可能性はまだまだ大きく、このレベルで満足していてはいけない。学術的な成果にとらわれず、より広範で魅力的で、意味のある一般人にとっても価値が感じられる形で、ベクションを啓蒙する必要がある。残された時間は1年しかないが、遅れを挽回するしかなく、全力で取り組むことを誓う。
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Strategy for Future Research Activity |
はじめに、近年注目されているAIやDeep Learningをベクションに取り組むことで、より包括的で魅力的な取り組みにしたい。国立情報学研究所の池畑諭助教に協力をもらい、AIにベクションシーンを作らせたり、なんらかの可能性を模索して行きたい。 これらと同時並列的に、べクションの人間知覚の基礎研究の発展、進展は常に必要である。現在計画している実験計画として、ベクション刺激に色を用いて、その彩度を検討する試み、乗馬型フィットネス機器で身体を揺らすことでベクション強度とVR酔いがどのように変わるかを明らかにする試み、関連して、VR酔い-ベクション-コンテンツの魅力度の3者関係を明らかにする試みを進展して行きたい。また、魅力度をあげるという意味で、音にも注目して行きたい。効果音やBGMがベクションに及ぼす効果を検討したい。 最終年であるため、アーティストとのコラボレーションにも注力したい。日本各地の現代アーティストを訪問し、我々の取り組みをベースにしたアート作品を作ってもらったり、展覧会を共催するなどして行きたい。一般人への啓蒙活動として、2019年度にも最低でも一冊の一般書は刊行したいとも考えている。また、査読継続中の論文を形にすることと、国際学会での発表も充実させたい。
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Causes of Carryover |
i-Perceptionのオープンアクセス論文に査読中の論文があり、掲載料として10万円程度を確保しておく必要があること。国際学会のACA(アジア色彩学会)とMovementsへの参加発表を予定しており、国際出張費および、参加費を学生分を含めて、複数分用意せねばならない。2018年度の成果発表は既に十分に行えたこともあり、2019年度の国際学会発表用に、自身と学生をまとめて参加させるための旅費と参加費の予算を繰り越す必要があった。また、新機材として購入を予定しているLooking Glassという10万円程度のDisplayがあるが、九州大学で取扱会社がなかったことから、年度内の納品が不可能となり、次年度に購入を繰り越した。そのための予算も繰り越す必要があった。以上の複合的な要因が予算の繰越の理由であり、かつ使用計画となる。
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[Journal Article] Vection is enhanced by increased exposure to optic flow.2018
Author(s)
Seno, T., Murata, K., Fuji, Y., Kanaya, H., Ogawa, M., Tokunaga, K., and Palmisano, S.
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Journal Title
i-Perception
Volume: 9(3)
Pages: 0
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] What is Vection?2018
Author(s)
Takeharu Seno.
Organizer
KAIT International Symposium 2018. 9. 4. 2018. Kanagawa Institute of Technology, Kanagawa, Japan.
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] ベクションの数理モデル研究の紹介.2018
Author(s)
妹尾武治, 金谷英俊, 藤井芳孝, 小川将樹, 澤井賢一, 村田佳代子, 分部利紘, 徳永康祐, Stephen Palmisano.
Organizer
電気学会, 知覚情報研究会, 長崎, ハウステンボス
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