2017 Fiscal Year Research-status Report
努力-報酬不均衡モデルに基づく女性勤労者のストレス状況の横断調査
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17K12873
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
柳沼 梢 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 講師 (70635440)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 職業性ストレス / 女性勤労者 / 努力-報酬不均衡モデル / 管理栄養士 / 栄養士 / 保育士 / 幼稚園教諭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、女性の活躍が期待される職域として、管理栄養士・栄養士(以後、栄養士)および保育士・幼稚園教諭(以後、保育者)に着目し、ストレスや困難、やりがいを多面的に把握し、現状を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は、両職域の質問票を作成し、質問票や調査方法の検討を目的としてフィージビリティ調査を実施した。フィージビリティ調査は、保育者を対象とし、無記名式のweb調査としたが、webと質問紙の同等性をクロスオーバー試験により検証し、同等であることを確認したため、希望のある場合には、質問紙による調査も一部で実施した。保育所や幼稚園を所管する自治体(子育て支援課、教育委員会)や私立幼稚園連合会の承認を得て、309施設5557名に調査協力を依頼をしたところ、1205名の回答が得られた(回答率21.7%)。そのうち未記入が多い回答を除外した978名(有効回答率81.2%)を対象として解析したところ、保育者は、職場の支援を得やすく、仕事に対してポジティブに関わっている傾向が示唆された。その一方で、ストレスを感じやすい状況にあり、さらに業務負担が増えると、心身のバランスが崩れ、離職や休職に繋がりやすいことも示唆された。しかしながら、今回のフィージビリティ調査は回答率が低く、web調査法自体を含めて改善が必要であることが分かった。本調査では、回答方法、調査協力の依頼方法、質問票の項目数など、今回明らかになった改善点を取り入れ、回答率の向上を目標の1つとして実施する。 フィージビリティ調査の結果は、既に自治体や連合会に報告済みであるが、今後更に、学会発表や論文発表により、広く社会に発信することで、本研究の意義を発揮していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、Ⅰ.質問票の作成、Ⅱ.調査対象への協力依頼、Ⅲ.フィージビリティ調査の実施を予定していた。 Ⅰ.質問票は、ストレス反応(心理的ストレス反応、バーンアウト、離職意思)および職業上の要因(努力-報酬バランス、仕事のやりがい、職場のサポート)を調べるための既存の質問票尺度7種に加え、社会経済的要因、健康上の要因、職業上の要因(職域、経験年数、雇用形態など)、交絡要因に関する質問項目から構成し、各職域の専門知識を持つ十数名を対象として予備調査を実施したのち、質問票を確定した。 Ⅱ.保育者においては、保育施設を所管する自治体(県および市町村子育て支援課、市町村教育委員会)や私立幼稚園連合会の承認を得た後、各保育施設へ協力の依頼をした。栄養士については、団体や学会への協力依頼を進めているところである。 Ⅲ.フィージビリティ調査は、質問票や調査方法の検討を目的とし、保育者5557名を対象として実施した。その結果、回答方法、調査協力の依頼方法、質問票の項目数など、本調査を行う上で改善すべき点を明確にすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、Ⅴ.本調査の実施、Ⅵ.統計解析・結果総括、Ⅶ.調査結果の還元を予定している。 Ⅴ.本調査では、回答率の向上を目標の1つとして実施する。そのための具体的な方法として、質問票の短縮化、調査への協力依頼方法の変更(可能な限り、調査の目的や内容の説明を直接出向いて行う)、回答方法の変更(質問紙を用いた筆記による回答)、実施時期の見直し(年中行事が少ない時期での実施)、粗品の配布を予定している。 Ⅵ.統計解析は、分散分析、重回帰分析、共分散構造分析により検討する。そして、得られた結果を総括レポートとしてまとめる。 Ⅶ.調査にご協力いただいた自治体、連合会、団体、学会、施設等に、総括レポートを提出して報告する。研究成果は、日本公衆衛生学会、日本産業衛生学会、日本衛生学会などの国内学会で発表するとともに、得られた知見を整理して論文を執筆し、発表する。
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Causes of Carryover |
研究計画時は、調査協力の依頼方法として、保育施設への直接訪問を予定していたが、電話による依頼に変更したため、訪問にかかる旅費を使用しなかった。その他にも、郵送法からweb調査に変更したことにより、郵送費がかからなかったが、web開設費が発生した。また、対象者数を増やしたことにより、質問票の版権を予定より多く購入した。このように、調査方法の変更に伴い、当初の予算計画とは異なる点が多々生じ、結果として次年度使用額が生じた。 平成29年度の未使用分は、粗品を配布することにしたため、粗品代の一部に充てる予定である。
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