2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12876
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 久美子 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (40508503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成人した子と親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、配偶者選択における親の関与とはどのようなものなのかを明らかにするものである。 まず、二年目である本年度は、どのような立場で本研究を進めていくのかをさらに検討することの必要性を痛感した。そのためにいくつかの学会に参加して研究者と意見交換を行い、ライフサイクル論や世代間関係といったいくつかの観点による研究の可能性があることを確認した。 次に、特に親に注目したインタビュー調査からは、配偶者選択における親の関与には、これまでの調査で注目しようとしたような、配偶者候補を探す時点で親が子どもに代わって相手を探すといったような積極的な関与の仕方だけではないものがみられた。たとえば、子どもが配偶者候補を親に紹介した時点で親がとる行動のバリエーションといったものである。これらの親の関与は、子どもが知らないところで行われているものもあり、そこに一つの親子の関係のあり方がみられた。また、親が子どもの配偶者選択に関与することについて、地域による差が存在する可能性が推察された。このような親が積極的に関わる/関わらないことは、子どもの年齢等の要因によるものなのか、それとも親と子の関係に関する地域の文化的要因が関わっているのか等を今後、注意深くみていかなければならない。一方で、未婚時の親子関係の密接さを、結婚後の夫婦関係に悪影響を与えるものと判断している人が少なからずいた。このような結婚時に存在した条件や状況が、その後当事者の結婚生活にどのような影響を与えたと解釈されたのかについては、かつて見合い結婚が主流であった時に、ある地域で親が重視した相手の条件「信仰している家かどうか」を事例として、日本民俗学会第70回年会の中で取り上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究から、子ども自身が配偶者候補を決めたり、親に対して配偶者候補の紹介が行われた際に、それに対して親が独自にどのような判断をしたり、行動したのかを知ることができた。そうした行動から、親が考える子どもの結婚相手の条件をみることができたこともそうだが、子ども本人が選んだ相手に対して不満がなくても、反対したとしても、結婚という「もしかしたら途中で夫婦仲がうまくいかなくなるかもしれない」と考えてしまうこともある不確実な人間関係に対して、親が最後までもやもやとした感情を抱いていることを知ることができた。 また、子どもは結婚したい気持ちを持っていたとしても、親が結婚しなくてよいと考えたり、それをはっきり子どもに言ったりすることがある。特定の配偶者候補に対する親の反対もこれに含まれるかもしれない。こうした親の言動は、子どもの結婚したいという気持ちや実際に行動を起こす意欲に影響を与えていると考えられるが、そこには親や子の生活状況が絡んでいることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査より、親の代理婚活のように親が積極的に活動している人だけではなく、結婚しなくてよいという考えを持っている親も含めて、もう少し広く親の子の配偶者選択への関与というものを考えなければならないことがわかった。そのため、次年度は本年度都合が合わずにお話がうかがえなかった方もそうだが、広くインタビュー調査を行い、より多くの事例を収集するように努める。また、本研究に関する学会発表等を行う予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に、さらに研究に必要な文献を追加で入手して研究を進める予定であったが、学内業務や出張等が多く、その時間を十分に割くことができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に入手予定であった文献を購入する予定である。
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