2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K12876
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 久美子 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (40508503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 仲人の資質 |
Outline of Annual Research Achievements |
配偶者の選択は難しいものとなっているが、この困難が、より親の関与を引き出していると考えられる。これまで幾つかの地域で暮らす人たちにインタビュー調査を行ったが、配偶者選択における親の関与のあり方は、地域によって特徴があると考えられた。そこで本年度は、配偶者選択時に親の関与が大きいとみられる地域に焦点をあてて研究を進めた。そして、その地域では親と仲人のつながりも大きいと考えられたことから、仲人の資質について、ジェンダーの観点から検討を行った。 考察をより深めるために、前年度末に新型コロナウイルスの感染拡大により実施できなかったインタビュー調査を重点的に行う予定であった。しかし、大学所在地域や、対象者の居住地域周辺においても新型コロナウイルスの感染拡大が収まらなかったため、インタビュー調査の実施を積極的に判断することができなかった。 こうした状況から、前年度末に環境社会学研究会で報告した内容についての参加者との応答を参考にしながら、論文の見直し作業を行った。その確認のため2020年10月に第71回関西社会学会大会において、「見合い相手を紹介する技量とジェンダー―仲人の役割の検討を通して―」として発表を行った。そこでは、仲人が社会的親としての役割を果たすべきことを想定して、従来、性別によって仲人に期待されてきた役割を検討した上で、仲人として活動する際の資質や共同性のあり方について考察した。また、配偶者に求める条件が結婚への困難を引き起こしていると言われてきたが、それを乗り越えるために、仲人自身の学びや洞察と、それを基にした当事者の選択への導き方に関心を持って研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルスの収束がみえなかったことから、予定していたインタビュー調査が実施できなかったことや、関西社会学会大会での発表が5月から10月に延期になったことによる研究の進捗状況への影響があった。インタビュー調査については、これまでの経験からやはり電話やオンラインでは詳細で多岐にわたる会話が難しいことを実感しているため、できれば対面での調査を行いたいと考え、次年度に延期した。さらに、大学の講義がオンラインに切り替わったり、前年度に引き続き教務委員を担当したりしたため、通常業務に加えてさらに様々な対応を行う必要が出てきた。この結果、論文執筆について考えていたよりも充分な時間を確保することが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染が収まらなかったことにより、インタビュー調査が実施できなかったため、補助事業期間をもう1年延長して本研究課題に取り組むこととなった。次年度は学内業務が本年度よりは軽減されることになり、より研究に時間をかけることができる予定である。具体的には、感染状況が収束してくれば、対面でインタビュー調査を行い、最終年度であることから、得られたデータを整理し、先行研究等を再度振り返りながらまとめていくことに力を注ぐ。
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Causes of Carryover |
本年度はインタビュー調査や学会発表を行い、そのための旅費として多くを使用する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらなかったため、インタビュー調査は実施できず、また学会での発表等はオンライン開催となったため、旅費が生じなかった。そのため、今年度は関連図書の購入を行ったが、次年度使用額が生じた。次年度はぜひとも話をうかがいたい人がいるため、状況が許すようになれば速やかに旅費として使用する。
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