2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K12876
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 久美子 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (40508503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 恋愛技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では恋愛結婚に移行し、結婚において本人の意思が尊重されていると考えられているが、現在においても、結婚に際して親の関与があることは経験的に知られている。本研究は、親の関与とは具体的にどのようなものであるのかを把握した上で、親が子どもの配偶者選択に関与する歴史・経済的背景、家族や親子関係のあり方を明らかにしようとするものである。 今年度も新型コロナウイスルスの感染が収まらなかったため、上記の問題意識を明らかにするために論文の執筆に力を入れた。これまでの調査による事例や先行研究の見直し作業を行い、まず、①親が子どもの配偶者選択に関与するようになった背景を描き出した。次に、見合いにおいて親の関与が大きいことから、②見合いにおける親の態度や、結婚相手の候補を紹介する仲人としてどのような人物が期待されたのかを明らかにした。そのうえで、③本人ではなく仲間や仲人、親が配偶者選択に関わる意味について論じた。本成果は、「恋をせずに結婚する深い悲しみ―配偶者選択における恋愛技術の喪失と親子-」(『社会環境学へのアプローチとその展望』)としてまとめた。さらにこの拙稿に対していくつかの貴重な意見をいただくことができた。これは今後の研究の展開に生かすことができると考えている。 また、地域社会の中では、配偶者選択を含めて、地域で暮らしていく人たちを育てるための、学校教育以外の教育(平凡教育)が行われてきたが、これに関連した論文を執筆し、2022年度に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、対面でインタビュー調査を行う予定の方が高齢者であったことから、新型コロナウイルスの感染状況や、ワクチン接種のタイミングもあり、インタビュー調査の実施を判断するのが難しかった。そのため、インタビュー調査は次年度に延期した。さらに、所属先で出版した書籍の取りまとめ担当となってしまったことから、長期間にわたって多くの時間が取られてしまい(総ページ数p434)、次の論文執筆を進める予定であったが、その時間の確保ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染が収まらなかったことにより、インタビュー調査が実施できず、補助事業期間をもう1年延長して本研究課題に取り組むこととなった。次年度は最終年度であり、すでに次の論文の執筆作業に入り、調査対象者の見直しも行っている。また今年度発表した論文の執筆中に抱いた問題意識については、2023年度刊行予定の書籍(共著)の中で執筆する論文において考察していくことにした。この内容については研究を進めて、次年度の研究会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度はインタビュー調査や学会参加を行い、そのための旅費として多くを使用する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの感染状況が収まらなかったため、インタビュー調査は実施できず、また学会はオンライン開催となったため、旅費が生じなかった。そのため、今年度は関連図書の購入を行ったが、次年度使用額が生じた。感染状況がある程度落ち着いてきたため、次年度は旅費として使用し、また、投稿論文を作成するために必要な文献を購入する予定である。
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