2019 Fiscal Year Research-status Report
繊維、プラスチック、タンパク質の吸着特性の解析と新しい鑑別法の提案
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17K12878
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
稲田 文 福島大学, 環境放射能研究所, 研究員 (80705400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 吸着 / ポリマーフィルム / 分子間相互作用 / 有機化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.緒言 「高分子と低分子の分子間相互作用」は科学の諸現象を考察する際に基本的な概念である。しかし、複雑な因子が多く、研究は極めて少ない。そこで、単純化した分子間相互作用のモデルとして、高分子素材に対する有機化合物の吸着現象に着目した。これまでに、種々の天然・化学繊維が固有の有機化合物の吸着特性を示す事がわかった。そこで、材料の形状や表面積の影響を少なくするために、各種素材のフィルムに対する有機化合物の吸着を検討して、識別の可能性をみた。 2.実験 1) 材料 ①吸着媒:食品用フィルム、ポリエチレン(PE, 厚さ10μm)、ポリ塩化ビニル(PVC, 厚さ8μm)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC, 厚さ11μm)を用いた。材料はメタノールで抽出後、乾燥した。②吸着物質:有機化合物(ベンゼン置換体,アセトニトリル,ジオキサン,DMF,デカンなど)、炭素数の異なるアルコール。 2) 吸着実験:有機化合物の飽和蒸気にフィルムを40℃で24時間(見かけ上平衡に達する時間)吸着させた。吸着物質を酢酸エチルで抽出して、ガスクロマトグラフィ-(Shimadzu GC-2025)で分析した。単位重量に対する化合物の吸着量を計算した。 3.結果と考察 PE, PVC, PVDCのフィルムに対して、9種の有機化合物の混合物からの吸着を検討した。その結果、次の事がわかった。1)各種フィルムに、トルエンが最も多く吸着した。2番目に多く吸着した化合物は、PEにはデカン、PVCとPVDCにはMeCNであった。2)PEには、MeCNとジオキサンの吸着量が少ない。この事から吸着にはポリマーの側鎖の影響が大きいと考えられた。3)PVCとPVDCの吸着傾向は類似するが、吸着量はPVCの方がPVDCより多かった。PVDCの密な構造が関与すると思われた。この結果、見かけ上の識別が困難なフィルムの識別が可能である事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリマーフィルム(ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン)の吸着傾向はまとまっており、おおむ予定通りである。しかし、学会などで吸着媒(繊維、プラスチック)の結晶化度が吸着傾向に影響する可能性を有識者より示唆された。よって吸着傾向解釈を詳細に検討する上で、結晶化度の測定を追加実験として行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
学会などで吸着媒(繊維、プラスチック)の結晶化度が吸着傾向に影響する可能性を有識者より示唆された。よって、結晶化度の測定を追加実験として行い、吸着傾向の解釈を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
既存のガラス器具および高分子材料を用いて実験を行うことができ、物品費を抑えることができた。また、学会において吸着媒(繊維、プラスチック)の結晶化度が吸着傾向に影響する可能性を有識者より示唆された。よって、吸着傾向解釈を詳細に検討する上で、結晶化度の測定を追加実験として行う必要が生じたため、次年度に繰越、実験を継続する必要が生じた。 次年度は、高分子材料の結晶化度の測定及び成果報告の費用に充填する。
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Research Products
(21 results)