2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of adsorption properties of fibers, plastics, and proteins and proposal of new identification methods
Project/Area Number |
17K12878
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
稲田 文 活水女子大学, 健康生活学部, 講師 (80705400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 吸着 / 分子間相互作用 / 有機化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.緒言 「高分子と低分子の分子間相互作用」は科学の諸現象を考察する際に基本的な概念であるが、複雑な因子が多く、研究は極めて少ない。そこで、単純化した分子間相互作用のモデルとして、高分子素材に対する有機化合物の吸着現象に着目し、種々の天然・化学繊維が固有の有機化合物の吸着特性を示す事がわかった。本件では、各種食品用フィルムに対するベンゼン置換体の吸着を検討して、識別の可能性をみた。 2.実験 1) 材料 ①吸着媒:食品用フィルム、ポリエチレン(PE, 厚さ10μm)、ポリメチルペンテン(PMP, 厚さ10μm)、ポリ塩化ビニル(PVC, 厚さ8μm)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC, 厚さ11μm)を用いた。②吸着物質:炭素数の異なるアルコールおよび、ベンゼン置換体を用いた。2) 吸着実験:有機化合物の飽和蒸気にフィルムを40℃で24時間吸着させた。吸着物質を酢酸エチルで抽出し、ガスクロマトグラフィ-(Shimadzu GC-2025)で分析した。単位重量に対する化合物の吸着量を計算した。 3.結果と考察 フィルム(PE, PMP, PVC, PVDC)に対する各化合物の蒸気圧4kPa時の吸着を比較した。1) トルエンの吸着量はベンゼンと比較して、PEとPMPでは極めて多い。PVCとPVDCでも、トルエン>ベンゼンであるが、PVCは他よりもその差は少ない。 2) キシレンは、各フィルムについて、p-X>o-X>m-Xの順に吸着しやすい。 3)トルエンとエチルベンゼンの大差は、「フィルムに対する分子の座りやすさ=ファン・デル・ワールス力」の違いと考える。すなわち、トルエンのメチル基がフィルムとの分子間力を大きくする。本吸着現象は①ファン・デル・ワールス力の違いが支配的であるが、フィルムと有機化合物間の電子配列(分極)による影響もある。と考えた。
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Research Products
(6 results)