2017 Fiscal Year Research-status Report
マンネンタケ由来のプロテアーゼおよびグルカナーゼの分子生物学的手法を用いた解析
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17K12888
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
熊倉 慧 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助教 (80516930)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マンネンタケ / プロテアーゼ / グルコシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
民間薬や食品として利用されてきたマンネンタケ(Ganoderma lucidum)は機能性が着目されるきのこである。本研究では、マンネンタケのもつプロテアーゼ(GlGPA)及びグルカナーゼ(GlGH128A)の機能性を明確にし、本菌の有用性を広げる。 本年度は目的酵素遺伝子を異種発現するための安定した発現系の構築を試みた。具体的には発現ベクターの構築、形質転換体の取得、発現の確認を行なった。異種発現系としては、コールドショック発現システムを用いた大腸菌の発現系を利用した。人工合成した目的遺伝子を発現ベクターであるpColdベクターにライゲーションし、発現ベクターの構築を試みた。その結果、目的遺伝子であるGlGPAおよびGlGH128A遺伝子は発現ベクターの目的部位に正しく挿入されていることが確認され、2種類の発現ベクターの構築に成功した。次いで発現用大腸菌BL21株へのトランスフォーメーションを行った。形質転換されたBL21株を培養後、タンパク質を抽出し、Hisタグ精製した。精製したタンパク質をSDS-PAGEに供試した結果、目的とする分子量の近辺にバンドが確認された。しかしながら、ネガティブコントロールにも同様のバンドが確認されたことから、明確なタンパク質の発現に至らなかった。 一方、マンネンタケ菌株の収集と培養を試みた。複数菌株を取得し、研究室保存菌株とともに培養し、菌糸成長速度や菌糸の形状等を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2種類の発現ベクターの構築までは比較的、順調に進行したと思われる。しかしながら、大腸菌を用いたタンパク質の発現において、明確な結果が得られず、条件検討や実験追加が発生したことが主な理由と考えられる。そのため研究の到達度に少しの遅延が生じたと考える。きのこ由来の酵素タンパク質の発現は宿主との相性や条件など、活性を持ったタンパク質の生成が困難な例も知られている。今後は、ベクターの選択や酵母や麹菌など他の宿主を利用した異種発現系、無細胞系のタンパク質発現システムを試みる必要があると考える。 一方、マンネンタケ菌株の収集と培養については、順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、酵素タンパク質の発現、複数菌株に関する基礎情報の取得、菌株間における酵素遺伝子の配列解析を中心として研究を推進する予定である。 具体的には、酵素タンパク質の発現に関しては、ベクターの選択や酵母や麹菌など他の宿主を利用した異種発現系や無細胞系のタンパク質発現システムを検討する。複数菌株に関する基礎情報の取得については、それぞれの菌株におけるrDNAのITS領域を利用して、分子生物学的手法による種同定を試みる。菌株間における酵素遺伝子の配列解析においては、gDNAおよびtotal RNAを用いて、酵素遺伝子の配列情報を比較解析し、菌株間における差異を確認する。
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Causes of Carryover |
<理由>本年度中に納品予定だった物品の納品に遅れが生じ、請求が次年度になったため。また、物品購入にあたり、物品の価格を精査し、安価なものまたはキャンペーン中のものの購入に努めたため。 <使用計画>今後の研究の推進方策に従い、物品費で当該物品を購入し、適せん使用、研究の推進に努める。また、旅費・その他に関しては、成果発表、資料収集、研究打ち合わせ等に使用し、本研究成果を発信し、研究を円滑に遂行する。
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