2018 Fiscal Year Research-status Report
マンネンタケ由来のプロテアーゼおよびグルカナーゼの分子生物学的手法を用いた解析
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17K12888
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
熊倉 慧 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助教 (80516930)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マンネンタケ / プロテアーゼ / グルカナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、複数菌株に関する基礎情報の取得、菌株間における酵素遺伝子の配列解析を中心として研究を推進した。具体的には、まず始めにリボソームDNAのITS領域を用いたシークエンス解析をおこない、供試菌株がG.lucidumであることを確認した。さらに菌糸体培養や子実体原基の形成を試み、形態観察からもG.lucidumであることを確認した。また、平板培地を用いた菌糸成長速度を測定し、それぞれの菌糸成長を確認した。これらの結果は、今後の子実体形成に関わる時間を知る上で重要であると考える。 次いで木粉培地で菌糸体を培養し、Total RNAを抽出、逆転写反応によりcDNAを合成した。これらを鋳型としてPCR法による目的酵素遺伝子の増幅をおこない、ダイレクトシークエンシングした結果、遺伝子配列情報の取得に成功した。 得られた複数菌株の配列情報を本研究室保存菌株のものと比較解析した結果、mRNA配列、予想アミノ酸配列とも高い相同性が確認され、マンネンタケにおいて菌株間で保存性が高いことが示唆された。 菌株間における本酵素遺伝子の各ステージでの発現解析のために、木粉培地を用いて複数菌株の子実体原基形成を試みた。その結果、複数菌株で原基形成が確認できた。しかしながら、その後の傘部の形成が不十分であった。今後は原基形成後の栽培条件の検討が必要である。 一方、本年度においては、本酵素が成熟した子実体に含まれることを論文として発表した。これらのことは本研究を遂行する上で必要不可欠であり、本研究の社会的意義を広く明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度の研究推進方策の中心である複数菌株に関する基礎情報の取得、菌株間における酵素遺伝子の配列解析を実施できたため、昨年度の研究推進方策の大半を実施できたと考える。さらに木粉培地での子実体形成試験も実施できたことから、菌株間における本酵素遺伝子の各ステージでの発現解析も順調に行えるものと推測している。一方、酵素タンパク質の発現に関しては発現を確認することはできなかったため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、菌株間における酵素遺伝子の発現解析を中心として研究を推進する予定である。具体的には、本年度に酵素遺伝子配列情報等の基礎的情報を取得した菌株を利用して、子実体形成を試み、各ステージおよび収穫後の本菌からtotal RNAを抽出し、cDNAを合成した後、リアルタイムPCR法を用いた発現量の解析を行う予定である。 また、酵素タンパク質の発現に関しては、無細胞系のタンパク質発現システムを検討する予定である。 さらに研究を進めるにあたり本酵素が他の食用きのこに置いても老化に関与しているかを明らかにすることは本研究がきのこにおいて普遍的なものであることの証明として重要であると考える。既往研究により、シイタケでは本グルカナーゼ遺伝子の老化への関与が報告されているため、他の市販食用きのこに関して、発現解析およびこれら遺伝子の配列情報の取得を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
<理由>物品購入にあたり、物品の価格を精査し、安価なものまたはキャンペーン中のものの購入に努めたため。また、汎用機器等は大学に設置されている共通の汎用機器を使用し、機器等の購入を控えたため。 <使用計画>今後の研究の推進方策に従い、物品費で当該物品を購入し、適せん使用、研究の推進に努める。また、旅費・その他に関しては、成果発表、資料収集、研究打ち合わせ等に使用し、本研究成果を発信し、研究を円滑に遂行する。
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