2019 Fiscal Year Annual Research Report
Therapeutic development of immune deficiency with mitochondrial dysfunction using CoQ10
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17K12900
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
谷村 綾子 熊本県立大学, 環境共生学部, 助教 (10610199)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 細網異型性症 / 免疫不全 / 好中球分化 / フルクトース / CoQ10 / 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、細網異形成症モデルとして、AK2タンパク質発現・酵素活性が野生株の半分ほどであるAK2ヘテロノックアウト(AK2+/-) HL-60株を作製し、ATP産生能が低下していること、また細網異型性症患者由来iPS細胞と同様の好中球分化障害が起こることを確認した。このモデル細胞株を用いて、1)小胞体ストレスが好中球分化を抑制する役割を担っていること、2)ミトコンドリアでのATP産生が小胞体ストレス解消機構(UPR)を介して好中球分化を調節することを明らかにした。 今年度は、エネルギー産生低下による好中球分化障害とROS上昇に対し、フルクトースとミトコンドリア膜通過型CoQ10(MitoQ)での改善について検討を行った。前者は解糖系によるエネルギー産生の上昇、後者は抗酸化能によるROS低減を期待した。AK2+/- HL-60株を用いてレチノイン酸処理に加えてフルクトースまたはMitoQを添加することで好中球分化誘導を行い、MGG染色にて形態学的に好中球への分化率を評価した。その結果、MitoQでは予想外にATP産生が低下し、細胞死を誘発する傾向がみられた。一方で、フルクトースではATP量は上昇しなかったものの、好中球分化割合は野生株と同等以上まで改善した。ATP量が上昇しなかったのは産生されたATPが好中球分化に使用されたためだと考えられた。したがって、ミトコンドリア異常によるエネルギー産生低下に伴う好中球分化障害がフルクトースにより改善することを見出した。今後、ヒトで使用できる適正濃度と効果の検討が必要になると考えられる。 研究期間を通したまとめとして、モデル細胞の作製、細網異形成症の発症機序の解明、新たな治療薬の提案を行うことができた。また、ミトコンドリアでのエネルギー代謝の新たな役割として小胞体ストレスを介した好中球分化の調節を明らかにすることができた。
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Research Products
(3 results)