2018 Fiscal Year Research-status Report
ビオチンによるエピジェネティック制御から探る口蓋裂発生機序の解明とその予防
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17K12906
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
澤村 弘美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30555371)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビオチン / ヒストン修飾 / 口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度はin vitroでの検討として、引き続きビオチン欠乏条件下でのヒト胚口蓋間充織細胞(HEPM細胞)におけるヒストン修飾の変化について検討した。ビオチン充足条件下で培養したHEPM細胞との比較を行ったところ、ビオチン欠乏細胞において、ヒストンメチル化酵素のmRNA量が有意に増加していた。他のヒストンメチル化酵素やヒストンビオチン化酵素のmRNA発現量に差は認められなかった。過去の研究より、有意差が認められたヒストンメチル化酵素について、別の培養細胞においてヒストンビオチン化酵素との物理的相互作用が報告されていることから、HEPM細胞においても、ビオチン欠乏がヒストン修飾の変化を引き起こす可能性が考えられる。また、in vivoでの検討として、妊娠マウスを用いて、ビオチン欠乏による影響を調べた。交配後にマウスをビオチン欠乏食またはコントロール食で飼育し、胎生15日目に屠殺した。現在、HEPM細胞におけるヒストン修飾の変化を解析するとともに、ビオチン欠乏妊娠マウスにおける解析も同時に進めている。in vivoでのビオチン栄養状態とヒストン修飾との関連は明らかになっておらず、ビオチン欠乏による口蓋裂とヒストン修飾との関連も不明である。 今回、ビオチンの栄養状態によってヒストン修飾酵素の遺伝子発現量が変化することを見出したことから、今後はin vitroおよびin vivoの両系においてより詳細な検討を行っていくことにより、ビオチン欠乏によるエピジェネティック変化と口蓋裂発症との関連を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro実験における解析はまだ進行中であるが、ビオチン欠乏妊娠マウスにおける解析も同時に進めている。令和元年度中にin vitroおよびin vivoでの解析が完了する予定であり、おおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおけるビオチン欠乏によるヒストン修飾の変化を明らかにするとともに、妊娠マウスにおける検討も同時並行で進めていく。また、回復試験として、ビオチン欠乏マウスにおいて、胎生10~12日目以降のビオチン投与による影響を調べる予定であり、現在予備試験を行っている。
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Causes of Carryover |
平成30年度内にin vitro実験におけるすべての解析が終了しなかったため、翌年度への繰越金が発生した。繰り越し分についてはヒストン修飾の解析に必要な消耗品の購入に用いる。
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