2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation the effect of biotin on palate development through an epigenetic mechanism and the prevention of cleft palate
Project/Area Number |
17K12906
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
澤村 弘美 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30555371)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビオチン / 口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビオチンは水溶性ビタミンの一つであり、哺乳動物では、母体のビオチン欠乏により胎仔に口蓋裂が発生することが報告されている。過去の研究において、妊娠12日目のビオチン欠乏マウスにビオチンを経口投与すると約6割の胎仔の口蓋が癒合することを見出しており、本研究では、妊娠10~12日目のビオチン欠乏妊娠マウスへのビオチン投与を行い、口蓋裂発生抑制効果を調べた。妊娠確認日を妊娠0日とし、ビオチン欠乏飼料またはコントロール飼料(ビオチン5mg/kg diet)を与えて飼育した。妊娠10、11あるいは12日にビオチン欠乏マウスにビオチンを経口投与し、その後コントロール飼料に切り替えた群を回復群とした。飼料を切り替える当日の午前9時に、0.1 mg/mLのビオチン溶液250 μLを胃ゾンデにより経口投与し、妊娠17日目に屠殺した。 胎児数、吸収胚・死亡胚数、胎児体重は群間で差はみられなかった。口蓋裂発生率は欠乏群で43.1%と有意に高くなり、妊娠10および11日にビオチンを投与した回復群では欠乏群よりも有意に減少した(11日:7.6%)。 妊娠11日目以前にビオチンを投与すると口蓋裂の発生が抑制されたことから、口蓋形成の開始時期である妊娠10~11日目の口蓋においてビオチンが重要な役割を果たしていると推測された。このことから、正常な口蓋形成のためには、妊娠10日~11日の段階でビオチンが十分に供給されていることが重要であると考えられる。今後は、口蓋形成初期におけるビオチンの機能解明や、口蓋形成初期からどの時期までビオチンが必要であるかを明らかにすることで環境因子による口蓋裂発生機序の解明につなげたいと考える。
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