2019 Fiscal Year Research-status Report
男性骨粗鬆症への性ホルモンの関与と、食品成分による制御可能性の検討
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17K12914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾関 温子 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任研究員 (30780598)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ORX / TNFa / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
閉経後骨粗鬆症モデルは卵巣摘出OVXにより再現可能であり、LOH性骨粗鬆症モデルも精巣摘出ORXにより再現できると考えられている。そこで、本研究ではORX におけるテストステロンおよびプロゲステロンの濃度変化に着目し、LOH性骨粗鬆症の発症機序を明らかにすること、また、食品成分や薬剤によるターゲットを定めることを目標としている。本年度は、骨量減少を抑制する可能性のあるプロゲステロンを長期間投与した男性更年期モデルラットの血中・尿中マーカーを測定することにより、ORXおよびプロゲステロン投与による骨代謝への影響を検討した。 本年度の 研究成果は以下の通りである。1)炎症マーカーの測定:血中の炎症性サイトカインであるTNFaのレベルをELISA法で測定した結果、Sham < 片側ORX < ORXの順に有意に高く、ORXにより血中の炎症レベルが増加していることが明らかとなった。また、ORX+プロゲステロン投与群では右ORX程度まで回復が見られた。一方、尿では有意な差は見られなかった。2)テストステロンレベルの確認:血中テストステロンレベルはORX < Shamで有意に高値を示したが、片側ORX群は個体差が大きく他群との間に有意な差は見られなかった。3)骨量減少メカニズムの推定:文献的検索によりORXラットでRANKLの発現増加がみられること(Simko J. et al, 2019)が明らかとなっており、また、TNFaはRANKL発現を増加させることが広く知られている。これらのことから、ORXラットにおいては炎症性サイトカインTNFaの上昇によりRANKL発現が亢進し、破骨細胞形成が促進して骨吸収能が高まることにより骨量減少が起こることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は骨量減少のメカニズムを検討することを目標として掲げていたため、一定の成果を挙げられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は主に細胞培養によって、ORXラットにおける骨吸収能亢進を抑制しうる食品成分の探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
所属が変わり現在の所属先の機器類を使用できるようになったこと、参加予定だった研究会が中止になったことなどによる。
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