2018 Fiscal Year Annual Research Report
Identifying food substances with a BDNF-upregulating effect in peripheral tissues for use in the development of new antidepressants
Project/Area Number |
17K12915
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中島 健輔 長崎国際大学, 薬学部, 助手 (90762162)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新規抗うつ薬 / 末梢性BDNF / 食品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳由来神経栄養因子(BDNF)は神経の新生・維持に関与しており、その減少は、うつ病発症の要因となる。さらに、脳内へのBDNFの単回投与は速やかなうつ様症状の改善をもたらす。しかし、末梢組織が産生するBDNFに着目し、うつ病の克服を目指す研究は見当たらない。本研究では、末梢組織におけるBDNF産生促進作用を機序とする抗うつ薬創製を目的として、末梢性BDNF産生促進物質のin vitro探索アッセイ系の構築およびBDNF産生促進作用を有する食品・医薬品成分の探索を行った。 前年度に、ヒト肺がん細胞A549を利用したBDNF産生促進物質の探索アッセイ系の構築に成功し、さらに、そのアッセイ系を用いて、葉酸およびルチンのBDNF産生促進作用を見出した。 本年度はA549細胞を用いて更なる探索を行い、①アヤメ科植物サフランに含有されるクロシンおよび抗てんかん薬・ガバペンチンのBDNF産生促進作用、②緑茶に多く含まれるエピガロカテキン没食子酸(EGCG)の顕著なBDNF産生抑制作用を見出した。A549細胞において、BDNFの産生に影響を及ぼした物質がin vivoにおいても同様の挙動を示すか否かを確認するため、EGCGを94%以上含有するTEAVIGOをラットに8週間、混餌投与したところ、血中BDNF濃度は低下傾向を示した。また、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所から「食経験のある植物エキスライブラリ」を購入し、植物エキスを用いた探索を開始した。BDNF産生促進作用を有する植物エキスが見出された際は、エキス中に含まれる代表的な化合物について個別に検討を行い、BDNF産生促進作用を示した物質を同定し、その類縁体のBDNF産生促進作用も明らかにする予定である。 末梢組織が産生するBDNFに着目した本研究は、新規作用機序を有する抗うつ薬開発の足掛かりとなると期待される。
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