2017 Fiscal Year Research-status Report
米に対する湿熱処理の多角的効果を取り入れた米加工食品の開発
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17K12916
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 寿子 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (20600018)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 玄米 / 湿熱処理 / 米加工食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,これまでに主に高アミロース米で得られている湿熱処理のメリットを様々な品種の米に対して応用するため,玄米に対して湿熱処理が与える種々の影響を明らかにする.29年度は,米のアミロース含量と湿熱処理による難消化性デンプンの増加,それにともなう生理機能向上の関係を複数品種の玄米について調べた. まず,アミロース含量の異なる中アミロース品種(こしいぶき)および高アミロース品種(越のかおり)の玄米について,成分分析を行い比較した結果,水分,灰分,タンパク質,脂肪に関しては,大きな相違が認められなかった.それに対して,難消化性デンプン量は,高アミロース米である越のかおりの方が大きな値を示し,湿熱処理をすることによって,両品種ともに値が増加することが認められた. 次に,湿熱処理玄米による生理機能性を評価するため,こしいぶきの未処理白米と玄米,湿熱処理玄米(0.1MPa,10分間),および越のかおりの未処理玄米,湿熱処理玄米(0.3MPa,10分間)の計5種をそれぞれ炊飯・乾燥・粉砕した米粉飼料を調製し,ラットの成長や脂質代謝への影響を検討した.ラード10%添加の高脂肪改変AIN-76混合飼料のコーンスターチを上記の各米粉と置換し,5週齢Wistar系ラットに自由摂食で50日間投与した.その結果,飼育期間中の体重増加は各試験群共に恒常的に増加し,終体重にはアミロース含量の違いによる差は認められなかったが,両品種ともに,湿熱処理によって終体重が未処理玄米より少なく,特に越のかおりで顕著であった.また,内臓脂肪である後腹壁脂肪量と,解剖時の血清コレステロールは,湿熱処理によって未処理玄米よりも減少することが両品種ともに確認され,特に越のかおりで顕著であった.以上の結果より,玄米の湿熱処理はラットの脂質代謝に影響を与え,特に高アミロース米で顕著であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米のアミロース含量と湿熱処理による難消化性デンプン増加,生理機能向上の関係についての全般的な検証は完了したが,玄米特有の生理機能に対する効果を調べるためのラットを用いた動物実験における盲腸内容物中のLC-MS/MSメタボローム一斉解析が終了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
測定の終了していない盲腸内容物中のLC-MS/MSメタボローム一斉解析を継続して行い,その他は,平成30年度以降の実施計画に沿って行う.
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Causes of Carryover |
年度内に測定が終了しなかった,玄米特有の生理機能に対する効果を調べるためのラットを用いた動物実験における盲腸内容物中のLC-MS/MSメタボローム一斉解析に必要な試薬類,装置の消耗部品費を次年度に繰り越すことになった.平成30年度は,終了していないLC-MS/MSメタボローム一斉解析にまず取り組み,その他は,平成30年度以降の実施計画に沿って研究を継続する.
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