2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of processed rice foods incorporating various effects of heat-moisture treatment on rice
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17K12916
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 寿子 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (20600018)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 玄米 / 湿熱処理 / 米加工食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,湿熱処理を用いた食後の血糖値上昇を穏やかに抑制できる米加工の技術を応用し,国民の健康維持にも有益な新たな米加工食品を開発することを目的とした.湿熱処理とは,デンプン糊化には不十分な低水分の条件下で,食品を短時間で水蒸気加熱する安全な食品加工法である.湿熱処理加工の最大のメリットは,難消化性デンプン量の増加にともなう生理機能の向上効果であるが,その他にも湿熱処理が与える効果について科学的エビデンスを集積して,その適用性を把握するとともに,保存や加工,調理も含めた最適な加工条件を明らかにすることを目指した. 最終年度は,湿熱処理法による玄米の持つ特異臭の低減効果について,化学成分等の分析を行い検討した.本実験に用いた湿熱処理の圧力や温度などの条件は,耐圧容器のゲージ圧0.1または0.2 MPaの10分間に設定し,市販のIH炊飯器あるいは土鍋を用いた炊飯時に発生する水蒸気に含まれる化学成分を捕集し,ガスクロマトグラフ-質量分析計により測定した.その結果,揮発性のにおい原因成分としては数種類のアルデヒドおよびアルコール,フラン類が検出されたが,特にn-ヘキサナール,n-オクタナール,n-ノナナールのアルデヒドの含有量が多かった.それらの成分は,玄米の保存期間にともない増加したが,0.2 MPaの処理を行った玄米ではn-ヘキサナール以外のアルデヒド類の生成が1~5割程度抑制された.湿熱処理により脂質酸化酵素が失活し,何らかの脂質酸化反応を遅らせると考えられた.その他,前年度までに得られた炊飯前の浸漬による吸水性(速度,到達度)の改善,生理機能性成分の保持,難消化性デンプン量の増加,ラット脂質代謝への影響と合わせて,高アミロース米以外の品種の玄米に対する湿熱処理の効果が明らかとなった.
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Research Products
(1 results)