2022 Fiscal Year Research-status Report
ジオパークにおけるマグマ生成実験を活用した地学教育手法の開発
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17K12931
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
三好 雅也 福岡大学, 理学部, 教授 (50557353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地学教育 / ジオパーク / マグマ / 溶岩流 / 教材開発 / 火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
火山・火山岩が分布するジオパークの教育活動にマグマ生成実験教材(七輪2個を上下に重ね送風機を組み合わせた加熱実験装置)を導入することで,学習者が約1000℃のマグマの熱を実感し,火山活動と地域地質発達史の関係を学ぶことのできる新たな地学教育手法の開発に取り組んでいる. 本年度は,前年度までに開発した実験内容(溶岩地形の形成,生成マグマと様々な物質(金属・プラスチックなど)との接触反応実験)を組み合わせた火山の教育プログラムの開発に取り組んだ. 上述の開発内容を取り入れた実験教室を,五島列島ジオパーク(小・中学生とその保護者対象)の実験教室において実施した.生成したマグマと木(割り箸)やアルミニウム(おたま)の接触実験を実際に参加者に体験してもらったところ,体験者からは良い反応が得られ,マグマの高温を実感してもらえた様子であった.さらに,日本火山学会の公開講座(小学生親子対象,三島市楽寿園)においてもマグマ生成実験を実施した.ここでは,楽寿園内に分布する溶岩の露頭観察と組み合わせてマグマ生成実験を行った.楽寿園内に分布する低粘度溶岩(富士山のパホイホイ溶岩)の露頭を観察して産状の形成過程を学んだ後にマグマ生成実験で全体の地形を復元することができ,新しい形の教育プログラムを実践することができた.参加者からは良い反応が得られた. その他,次年度の実践に向けて,桜島・錦江湾ジオパークのジオサイト等を題材としたマグマ生成実験の講座の内容を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き,新型コロナウィルス感染症の影響によりマグマ生成実験に取り組む時間が限定的になってしまったが,今年度は対面でマグマ生成実験を実施することが可能となり,前年度までに考案した実験内容を組み合わせた教育プログラムを五島列島ジオパーク,日本火山学会の公開講座(三島市楽寿園)で実験教室を開催する機会を得た.三島市楽寿園はユネスコ世界ジオパークである伊豆半島ジオパークのジオサイトのひとつである.当初予定では阿蘇ジオパークでマグマ生成実験を実施するという計画であったが,新型コロナウィルス感染症の影響によりスケジュール調整ができなかった.しかし,阿蘇ジオパークと同じユネスコ世界ジオパークのジオサイトを題材としたマグマ生成実験を実施できた点において,概ね目標が達成されたといえよう.当初予定していた論文投稿には遅れが生じているが,共著者と連絡を取りながら準備を進めている.以上を統合し,現時点では「おおむね順調に進展している」と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
ユネスコ世界ジオパークである阿蘇ジオパークの博物館および学校において,阿蘇の火山活動史および火山災害と関連付けた講座・授業を実施する.また,桜島・錦江湾ジオパークのジオサイトおよび地形発達史を題材とした実験内容を考案し,実験教室にて実施する.さらに,これまでの授業実践結果と合わせて分析し,地域の火山活動による地質発達史をマグマ生 成実験によって再現する新たな教育手法を提案する.その教育効果について,学会発表および論文投稿を行う.
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Causes of Carryover |
本年度研究を進める中で,新型コロナウィルス感染症の影響により,当初計画していた阿蘇ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)の地域の小・中学校での実験に遅れが生じた.また,そのことと関連して,国内外における成果の発表,および論文発表準備にも遅れが生じた.これらを次年度研究開始後に実施するため,その費用として使用する.
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Research Products
(3 results)