2018 Fiscal Year Research-status Report
超小型人工衛星からの電波受信実験の高校物理での教育利用
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17K12933
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
内山 秀樹 静岡大学, 教育学部, 講師 (50708435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度までに、科学館や中学・高校にて、中高生の希望者を対象とする科学教室の形式で衛星電波受信実験の実践を行った。2018年度は科学教室前後での受講者に対するアンケートの分析を進め、1) 受講者の満足度は高く受信実験は中高生が興味を持てる教材であること 2) 力学概念指標調査正答率の顕著な向上は見られなかったものの、科学教室で直接扱った物理内容の理解については、生徒の自信が高まったことが分かった。一方で理科の有用感については、受講者の有用感が元から高かったこともあり、顕著な向上は見られなかった。
2018年度は、理科に対する興味や関心が多様な生徒への受信実験の効果測定を目的として、2つの高校の正課の授業の中での実践を行った。科学教室形式の実践の際と同様のアンケート調査を行った所、満足度は同様に高く、特に理科への有用感は実践の前後で有意に向上していた。また、物理内容の理解については生徒自身の自信も高まっていた。更に実験参加者と非参加者の両方に衛星の運動に関する力学のテストを実施した所、実験参加者の方が有意に得点が高かった。これらのことから、衛星電波受信実験の教材としての効果を確かめた。
また、超小型衛星の教育利用の更なる発展として、静岡大学工学部が開発した超小型衛星Stars-AOを用いた観測計画を中高生が立案する科学教室も実施した。これは将来的には高校「理数探究」内での実施を視野に入れている。静岡大学教育学部の教育心理・哲学・理科教育の研究者と協力し、特に参加者の「知識を活用して創造的なアイデアを生み出す能力」と「仲間と建設的な議論を行う能力」の育成を目指しカリキュラムを作成した。37名の中高生が参加し、うち2名は本科学教室のアイデアを元に研究を進め、日本天文学会ジュニアセッションで発表した。現在、受講者が科学教室内で作成した資料を分析し、本科学教室の効果測定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、高校正課の授業内での実践とその効果測定ができており、順調に進捗していると言える。また、超小型衛星Stars-AO科学教室の実施は、当初は予定していなかったものの本研究の新たな発展といえ、効果測定や論文執筆のためのデータも取得できている。高校教員の方向けの教材公開Webサイトの作成とそこで公開するための衛星情報収集用受信設備の立ち上げのみ、当初の計画よりやや進展が遅いが、こちらも準備自体は着々と進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
科学教室および高校授業での衛星電波受信実験の実践、および、その効果測定結果について査読付き論文にまとめ、発表する。また、受信設備を立ち上げ、高校教員の方向けの教材公開Webサイトを完成させ、公開する。
超小型衛星Stars-AO科学教室の実践、および、その効果測定結果についても論文にまとめ、発表する。また、高校授業の「理数探究」内での実施のために必要なことを検討する。
上記の知見を元に、地上からの(特に学校現場での)教育利用を目的とした超小型衛星について検討を行う。
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Causes of Carryover |
受信設備作成関連の物品が一部想定より安価であった。 一方で別途必要な物品が生じたため、今年度それらを購入の予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 人工衛星電波受信実験の高校物理教材化 : 科学教室形式での実践2018
Author(s)
内山秀樹, 小林尚輝, 山本仁, 佐藤航, 神尾誠也, 木下拓史, 島野誠大, 武井大, 松山福太郎, 内山智幸, 渡辺謙仁
Organizer
日本天文学会2018年秋季年会
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