2017 Fiscal Year Research-status Report
小学校理科探究能力を育む「習得・活用・探究」をつなぐ主体的・協働的な探究学習開発
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17K12936
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
大前 暁政 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (90709528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 探究学習 / 小学校理科授業 / 探究能力 / 主体的 / 協働的 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,科学的に調べる能力や態度を育てることが重視され,有効な方法として探究学習が注目されている。しかし,理科における探究学習は,主に中学校と高等学校で行われており,基礎基本の習得に力を注ぐ小学校段階ではほとんど行われていない。特に,小学校において「習得・活用・探究」の学習プロセスを連動させた,主体的・協働的な探究学習に関する知見は少ない。そこで,研究の第一段階として,小学校,中学校及び高等学校など,様々な先行研究や実地調査から,研究項目のうち,『「習得・活用・探究」をつなぐ主体的・協働的な探究学習の条件と探究能力育成過程の解明』を行った。自律学習や協働学習の理論など,主体的・協働的な探究学習を成立させるための学習条件を,文献や実地調査をもとに分析を行った。文献調査に加え,大学に関係する小学校や他の小学校などで研究交流や実践を行い,問題の発見の仕方や,導入の自然体験の種類によって気付きがどのように異なるのか,思考力やプログラミング的思考を育てるための授業のあり方などの知見を深めることができた。また,もう一つの研究項目である『主体的・協働的な探究学習プログラムと,探究学習に適した教材の開発』を行うため,特に小学校における新設の単元を中心に,文献調査や実地調査を行い,教材の開発を行った。また,様々な教材を購入し,教材を探究学習の過程でどう活用すればよいのか,小学校の発達段階を考慮した上での検討を行った。小学校段階における科学的な探究能力の高まりを検証する具体的な指標の作成については,特に「理科の見方・考え方」の育成や,各学年で育てたい思考力・判断力・表現力等に焦点を当て,調査・研究を行い,まとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目のうち,『「習得・活用・探究」をつなぐ主体的・協働的な探究学習の条件と探究能力育成過程の解明』,及び『主体的・協働的な探究学習プログラムと,探究学習に適した教材の開発』の二つについて,おおむね調査を行うことができた。『「習得・活用・探究」をつなぐ主体的・協働的な探究学習の条件と探究能力育成過程の解明』では,文献調査を中心としながらも,小学校での実践も行いつつ,子ども達が主体的・協働的に問題を発見し,探究を行っていくという理科授業展開にするには,どのように導入の自然体験を用意し,その後の問題解決につなげればよいのかを検討することができた。『主体的・協働的な探究学習プログラムと,探究学習に適した教材の開発』では,文献調査を中心として,過去の理科授業実践を中心に調査を行い,大まかな探究学習のモデルとしてまとめることができた。教材も,新しい小学校の理科単元を中心に,様々な教材を購入したり,作成したりして,探究学習の中にどのように取り入れていけば効果的なのかを研究することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目のうち,『小学校における主体的・協働的な探究学習の実践と結果分析』を行う。また,必要に応じて,『主体的・協働的な探究学習に適した教材の開発』を行い,教材の改良を図るようにする。開発した主体的・協働的な探究学習の過程を実際に取り入れて授業を行い,科学的な探究能力の向上について,解析を行う予定である。文献調査も引き続き行い,文献調査や実践の中で,主体的・協働的な探究学習を成立させる上での新たな条件が明らかになった場合は,その条件を満たすための学習プログラム改善に取り組む。教材について,問題を発見させたり,問題を解決させたりするために,さらに改良を加える必要が生じた場合には,適宜教材の開発を行う。
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