2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K12939
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
内海 淳志 舞鶴工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (30402663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 科学教育 / 環境教育 / 教材開発 / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
再生可能エネルギー教育の一環として、太陽電池の仕組みの学習や太陽電池づくり体験の機会が求められている。しかし、現状では一般的に普及しているシリコン太陽電池に関して、体験型の公開講座はほとんど実施されていない。体験が長時間に渡り、かつ高額な教材費用を要するためである。本研究では、これまでに開発した短時間で作製可能なシリコン太陽電池教材の改良を進めるとともに、この教材を使用した教育プログラムを開発して評価する。 今年度は、シリコン太陽電池教材の発電量の増加を目的としてフィンガー電極を検討した。また、太陽電池を汚れや破損から保護するための外装の選定を行った。フィンガー電極はシリコン太陽電池の構成を説明する上で欠かせない要素であるが、通常、完成した太陽電池についてフィンガー電極の有無による発電量の比較を行うことは難しい。我々が開発した太陽電池の場合、受光面にアルミテープを後付けすることで、簡単にフィンガー電極を形成することが可能である。フィンガー電極の効果を評価した結果、適切な形状にすることで短絡電流を約10倍に増加させることができた。電流値が一桁変わるというわかりやすい差が得られるため、このフィンガー電極の形成実験を教育プログラムで行う実験テーマに加えることにした。 次に太陽電池の外装については、真空封止、樹脂封止およびラミネート加工などを検討した。防汚性能、光透過性および発電量を比較検討した結果、ラミネートフィルムの優位性を確認することができた。また、この方法であれば真空封止装置など特別な装置が不要であり、太陽電池作製実験にも容易に取り入れることができることから、外装として採用することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、シリコン太陽電池のフィンガー電極の検討および外装の検討を行った。フィンガー電極の検討については、太陽電池教材の発電量を大幅に増加させることに成功した。また、フィンガー電極の形成実験として教育プログラムの一部に加える見通しも立った。太陽電池教材の外装については、当初、樹脂封止および真空封止を候補として考えていたが、ラミネートフィルムを用いた封止をこれらに加えて検討した。結果としては、発電量において明確に差が見られたことから、ラミネートフィルムが外装として有効であることがわかった。また、研究計画に沿って、開発した太陽電池教材の公開講座での活用準備も順調に進められていることから、研究の達成度はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基本的な教育プログラムの確立を目指す予定である。現在計画している教育プログラムの要素として発光ダイオードの点灯実験やモータの回転実験などがあり、これらは太陽電池発電実験の一部とする予定である。フィンガー電極を形成することで太陽電池の発電量を飛躍的に増加させることができたことを今年度の研究成果として挙げたが、これにより、教育プログラムの各種実験実施に一定の目途がついたといえる。また、開発しているシリコン太陽電池教材については、より一層の発電量の増加が見込める。このため、引き続きシリコン太陽電池教材の改良も計画的に進める予定である。 次に、現在までに開発したシリコン太陽電池教材を用いて、公開講座の準備・実施を行う予定である。公開講座については、舞鶴高専地域共同テクノセンターの講義室および電子デバイス実習室(試作室)で行う予定であり、中学生が参加できる長期休業期間内に日程を設定して行う予定である。
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Research Products
(5 results)