2017 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニング型授業におけるデジタルペンを利用した形成的評価手法の開発
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17K12951
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森 裕生 鹿児島大学, 高等教育研究開発センター, 助教 (00758617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育工学 / 大学教育 / アクティブラーニング / デジタルペン / 学習者分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、主にデジタルペンを用いてこれまでに取得した学生のライティングプロセスデータを用いたライティングプロセスの特徴に関する分析を行った。行った分析は以下の2点である。①学生がどのタイミングで演習課題の回答を記述しているか、②それぞれのタイミングでどのような内容を記述しているか分析を行った。 その結果、①では主に以下の2点が明らかになった。第一に、多くの学生が演習時間の回答時間前に記述を行う「回答時間前ライティング」を行っていたこと、第二に、対象学生の約半数が、演習課題の回答時間後に記述を行う「回答時間後ライティング」を行っていたことが明らかになった。 ②では、①のライティングプロセス特徴を踏まえて、それぞれのタイミングでどのような内容を記述したか分析した。その結果、主に以下の2点が明らかになった。第一に「回答時間前ライティング」は、演習課題の内容や意図を理解した段階で記述を開始する活動であること、第二に「回答時間後ライティング」は、回答時間に記述した自身の回答の補足や追記をする活動であることが明らかになった。 また、平成30年度へ向けた発展的な予備的な分析として、学生の学習成果物とライティングプロセスの関連についての検討と、デジタルペンを利用して受講を行った学生(研究協力者)を対象としたインタビュー調査を行った。特にインタビュー調査では、ライティングプロセスを研究協力者に提示しながら行った。これらの点については平成30年度にかけて分析を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、学生の授業中のライティングプロセスを分析することで、アクティブラーニング型授業(演習課題などのライティング課題を含む授業)の形成的評価手法を開発することを目的としている。1年目の平成29年度は学生のライティングデータを分析し、ライティングプロセスの特徴や学習成果物との関連を分析した。 2年目の平成30年度は、ライティングプロセスを学生に提示しながらインタビュー調査を実施し、それぞれのライティング活動の「意図」などを調査することを予定している。これにより、ライティング活動の状況などを用いて、学習評価を行ったり、学習成果物との関連を予期し介入や指導方法を検討することができるようになると言える。 2年目の研究をすすめるための基盤となるライティングプロセスの特徴に関する分析と予備的なインタビュー調査を1年目で終了しており、本研究はおおむね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の平成30年度は、継続的なライティングプロセスの取得・分析、ライティングプロセスを提示しながら行うインタビュー調査を予定している。これらの理由として以下の2点が挙げられる。 第一に、分析の妥当性を高めるためのデータ蓄積である。平成29年度までは授業実践の関係上、研究協力者が1授業にあたり8名ずつであった。そのため、平成30年度も継続してデータの収集を行い、より妥当性の高い分析を行う。 第二に、学生のライティングの「意図」を分析するためである。平成29年度までは「回答時間前ライティング」や「回答時間後ライティング」などの特徴的な活動を分析した。その一方で、学生がなぜそのような活動を行ったのかについて取得したデータから明らかにすることには限界があった。そのため、研究協力者のライティングプロセスデータを提示しながら、活動の意図やその時の思考などについてインタビュー調査を実施することでライティングの「意図」を分析する。これにより、ライティングプロセスの特徴ごとの学習支援方法や評価手法の検討を行うことが期待される。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属大学の異動をしたことにより、研究計画段階と研究の実施体制に若干のずれが生じてしまったことで、機器の購入を2年目以降の平成30年度に見送った。これにより、当初の計画と使用額にもずれが生じ、次年度使用額が生じた。
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