2017 Fiscal Year Research-status Report
Research of Learning by Building an Structure of Arithmetic Word Problem for Special Classroom
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17K12954
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
山元 翔 近畿大学, 工学部, 講師 (90735268)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 特別支援 / 作問 / マルチメディア利用 / タブレット / 学習 / 教育 / 言語理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
算数文章題は、お金の計算など、数に関わる活動と数量の演算を対応付けるための重要な学習課題であり、この構造を理解させることは、教師にとっても重要である。これについて、算数文章題を作ることでこの理解を促進する、作問学習が有用な方法として知られているが、文章理解の困難な児童にとっては不可能な活動とされてきた。 本研究では算数文章題の構造分析から、特別支援の児童にとって理解可能な単文を組み立てさせることで、作問学習が実現可能であることを確認している。また、学習支援システムの利用により、文章題の理解が促進されることを確認している。本研究では、(1)児童の特徴に合わせたシステムの改良、(2)構造組み立て型学習支援システムの拡張、(3)実践運用と効果の確認、を目的としている。 平成29年度は、研究実施計画で目的としていた、教師用システムの改良と、乗除算の作問学習支援システム「モンサクンTouch2」の実践利用を実施している。この実践利用から、これまでに実施してきた加減算だけではなく、乗除算についてのシステム改良に向けたデータが得られた。また、前年度の成果について詳細に分析した上で、国内外の学会で報告している。国内では、特別支援を対象とした大会で発表しており、そこで特別支援学級を担当していたり、専門の研究をされたりしている教員とのつながりが得られた。その結果、今後の実践現場の拡張の可能性や、従来特別支援では非常に困難とされている言語学習の支援の可能性が示唆された。なお、国外の発表でも同様の意見が得られ、また演習モデルの洗練についても知見が得られた。 以上の結果により、従来の分析結果からは得られなかった新たな知見が得られたこと、その知見に基づいて、新たに言語能力の促進のためのシステムの開発が見込めると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としていた教師用システムの拡張と、乗除算の作問学習支援システム「モンサクンTouch2」の実践利用は達成している。教師用システムについては、児童の特徴を踏まえた演習時のつまづきの検出や、その結果に基づく指導内容の提案機能を実装できている。しかし、システムはまだプロトタイプを開発し、モンサクンTouch2の実践利用において試験的に利用していただいたのみであるため、必ずしもすべてのデータが、実践で指導に利用しやすい形式で提示されているわけではない。よって、UIの改良は継続して行っていく必要があり、今回の実践結果を踏まえたシステムの支援機能の拡張も検討していく。 結果としては、当初の予定通り活動は行えており、国内外での成果報告から、特別支援における言語学習の支援システムとしての可能性や、新たな実践現場の獲得の可能性が得られている。また、システムを今後改良していく上で必要な実戦データの収集や、特別支援学習を専門に研究している研究者からの協力も得られた。これらの成果から、おおむね順調にしていると判断した。また、これまでの成果は国内外の学会で発表し、学術論文としてもまとめる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな教師用システムと乗除算の作問学習支援システム「モンサクンTouch2」の実践利用の結果と、国内外での成果報告の結果から、概ねシステムの改良や、今後の方針についての知見は得られている。平成30年度は、平成29年度の実践利用の分析を終え、担当教員と再度議論した上で、教師用システムの改良や、言語理解のためのシステムの設計・開発を行う。そして、実際に特別支援学級の児童を対象とした実践利用から、システムが特別支援学級に適した作問演習を実現していることや、言語理解のための有効性について検証する。なお、この実践利用については秋ごろに行うことを既に担当教員らと計画している。
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Research Products
(4 results)