2017 Fiscal Year Research-status Report
メディア分析による萌芽的科学技術のリアルタイム・テクノロジーアセスメントの研究
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17K12956
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
標葉 隆馬 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (50611274)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メディア分析 / リアルタイム・テクノロジーアセスメント / 責任ある研究・イノベーション / 幹細胞・再生医療研究 / ゲノム / 遺伝子組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、1980年代から2017年末までを対象として、以下のキーワードを含む記事の収集をまずは完了させた。対象としたキーワードは、「遺伝子」、「ゲノム」、「DNA」、「遺伝子組換え」、「遺伝子組み換え」、「トランスジェニック、「GMO」、「再生医療」、「万能細胞」、「多能性幹細胞」、「ES細胞」、「iPS細胞」、「STAP細胞」である。最終的に約17万件の記事を収集し、分析にかけられる形への加工を完了した。また再生医療に関する記事の分析において、2013年までについては先行研究(Shineha 2016)における分析例があることから、まずは2014年における記事トレンドの分析をまずは予備的に行った。その結果として、当初、新聞記事上でも人物への注目が大きかったものの、「ねつ造の発覚」、「関係者の死」などを経て話題が急速に変化していることが改めて確認された。とりわけ、「関係者の死」以降において急速に話題が収束していったことも見いだされた。 加えてリアルタイム・テクノロジーアセスメント(Real-Time Technology Assessment: RTTA) に関わる議論ならびに国内外の実施事例の検討を文献調査を通じて行った。具体的には、RTTA、Anticipatory Governance(AG)、Responsible Research and Innovation (RRI)と続く一連の議論に関する関連文献を収集し、その議論の特徴と経緯の整理・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新聞記事の収集が完了し、STAP細胞事件を事例とした予備的分析まで終了したことから、おおむね順調に進展していると考えられる。 2年次以降については、これらの包括的かつ時系列におけるメディア分析を行うことで、生命科学分野に関するメディア報道の動向とそのフレーミングの変化を可視化する。 また、例えば、Mikami (2018)によるSTAP報道を巡る考察や、Hayashi (2010)によるヒトゲノム計画を巡る国内議論と報道に関する研究など、必要な先行研究のレビューなども順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次では、収集した過去30年分の「遺伝子・ゲノム」関連記事12万件、「遺伝子組換え」関連記事2万件、「幹細胞・再生医療」関連記事3万件を対象として、定量テキスト分析を活用したメディアフレーミング分析を行う。 分析に適した形へのテキストデータの加工が進んだことから、スムーズに分析を実施することができる。 メディア分析の進行に併せて、関連する生命科学関連メディア分析についての先行研究、またRTTA・AG・RRIに関連する理論研究のレビューを進めていく。 また、ここでの成果を、各種研究会にて発表し、フィードバックを得る。
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Causes of Carryover |
分析用に購入したノートPCの値段が予定よりも安価で済んだこと、また今年度は英文校閲費用が発生しなかったことにある。繰り越した金額については次年度における論文投稿料ならびに英文校閲費用に充当する。
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