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2017 Fiscal Year Research-status Report

遺跡出土貝類遺体の安定同位体比による水域環境の復原と海況変遷

Research Project

Project/Area Number 17K12961
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

一木 絵理  明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (60633930)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords炭素・酸素安定同位体比 / 放射性炭素年代測定 / 貝塚 / 炭酸塩
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,遺跡出土ヤマトシジミの安定同位体比による汽水環境の推定を中心として,完新世堆積物の珪藻分析とともに,縄文時代の海域生態系,特に水域の塩分や生物分布,人間が漁場とした場所といった縄文時代の遺跡周辺の水域環境を時空間的に復原することである.対象地域は,①霞ヶ浦周辺と②八戸・上北地域の2地域である.
まず研究を進める上で,遺跡出土貝類の安定同位体比分析の成果を蓄積することが最優先される課題であることから,研究者が日々携わる霞ヶ浦周辺の土浦市内の遺跡資料を中心に分析を行った.資料は土浦市内の下坂田貝塚(縄文時代後晩期),上高津貝塚(縄文時代後晩期),下坂田塙台遺跡(縄文早期),下高津小学校遺跡(中世)の5遺跡,10点,現生試料2点の計12点である.そのうち,9試料について放射性炭素年代測定を,9試料について炭素・酸素安定同位体比分析を行った.この結果,これまで測定例のなかった遺跡の年代が明らかとなり,試料数は少ないものの,海洋リザーバー効果の推定についても試みることができた.土浦市内の貝塚の年代について新たな結果が得られたことは重要な成果である.ただし,貝類遺体の年代結果については,ばらつきもあり議論が必要であることがわかった.また,遺跡出土貝類の炭素・酸素同位体比については,淡水・汽水・海水による差が見られたものの,ヤマトシジミの値の幅が大きい点,現生ヤマトシジミの同位体比とも差がある点も明らかになった.
八戸・上北地域においては,長七谷地貝塚や赤御堂遺跡(縄文早期),一王寺遺跡などの試料を対象とし分析を行うため,学芸員と現地で協議を進め,次年度に放射性炭素年代測定と安定同位体比分析が可能となった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

初年度は,研究を進めるにあたり,土浦市内の貝塚出土貝類遺体の安定同位体比分析と放射性炭素年代測定に重点を置き,データを蓄積することに集中した.それは,出土貝類の安定同位体比分析については,貝類の個体差や地域差などによりばらつく可能性もあり,ある程度の測定点数が必要と考えられたからである。そのためもう一つの大きな研究の課題である,桜川低地~霞ヶ浦周辺における地盤情報データベースによる地下地質の情報集約については,やや遅れている状況である。

Strategy for Future Research Activity

遺跡出土の貝類遺体の安定同位体比分析については,測定試料数が限られていたこともあり,さらに多くの分析結果から検討を進めることが必要であることがわかった。また,貝類遺体の点数を増やすだけでなく,現在の国内外の研究状況を踏まえ,貝殻成長線分析と合わせた同位体比分析を行う必要が出てきた。そこで,つくば市にある国立科学博物館にて分析を進める準備を整え,資料の抽出から,測定試料の削り出し等,申請者自身で進めることにした.さらに,八戸・上北地域については来年度以降の分析のための試料提供について許諾を受けており,すぐに進めることができる状況にある。
対象地域における地質調査においては,既存ボーリングコアの検討や新たにボーリングコアを採取するなど,層序記載,放射性炭素年代測定,珪藻分析等を進める.

Causes of Carryover

初年度は,遺跡出土貝類の安定同位体比分析及び放射性炭素年代測定の成果を蓄積することに重点を置いたため,桜川低地を含めた霞ヶ浦周辺の地質調査における地盤情報データの集約やボーリングコア採取における調査補助を依頼しなかった.
今後は,地質調査における調査補助などを依頼して研究を進めるとともに,比較対象地である八戸・上北地域への調査旅費に充て,遺跡出土資料および現生試料を収集する.また,放射性炭素年代測定費や珪藻分析費用に充てる予定である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 大和田周辺に分布するマガキ主体の自然貝層とその14C年代2018

    • Author(s)
      領塚正浩・畑山智史・黒住耐二・一木絵理・杉原重夫
    • Journal Title

      市史研究いちかわ

      Volume: 第9号 Pages: 51-59

  • [Presentation] “縄文海進”の海域環境と人間活動2018

    • Author(s)
      一木絵理
    • Organizer
      日本第四紀学会シンポジウム
    • Invited
  • [Book] 霞ヶ浦の貝塚と社会(明治大学日本先史文化研究所 先史文化研究の新視点Ⅴ)2018

    • Author(s)
      阿部 芳郎・関口 満・亀井 翼・川村 勝・阿部きよ子・中村哲也・石川 功・樋泉岳二・植月 学・黒澤春彦・一木絵理・馬場信子・米田 穣・佐々木由香・谷畑美帆
    • Total Pages
      288
    • Publisher
      雄山閣
    • ISBN
      9784639025450

URL: 

Published: 2018-12-17  

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