2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study which affects new materialization of archaeological artifacts using hight-definition three-dimensional data
Project/Area Number |
17K12965
|
Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
小林 啓 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (20638457)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 高精細三次元データ / 三次元計測 / 馬冑 / 考古資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高精細三次元データの活用により、考古資料の構造や製作技法を細部に至るまで高精細に資料化することを目的とし、船原古墳遺物埋納坑(福岡県古賀市・6世紀後半~7世紀初頭)から出土した国内3例目の馬冑を対象とした。 馬冑の三次元計測は非接触且つ能動的な手法により実施した。具体的には、対象に明暗のパターンを投影し、それを撮影した画像を用いた手法を採用した。この手法は、単に対象物を撮影した画像のみで計測する受動的手法と比較して、全体と細部の再現性のバランスに優れているため、複雑な形状をもつ考古資料に有効な手法である。計測では、1回につき約13㎝四方を計測し、最終的には点間距離約0.2mmの計測結果が得られた。 高精細三次元データからは馬冑の基礎構造となる、面覆部、庇部、左右の頬当部の6枚の鉄板の組み合わせ、それぞれを固定する鋲留めの構造について精緻に表現することを可能とした。この他、左右の面覆部側板の下方・後方と頬当に装着されている鉸具にについても、鉸具を構成するU字形の縁金やT字形の刺金、これらを挟み込む小判型の鉄板、鉄板を固定する鋲についても実物を比較して違和感なく表現できている。 得られた高精細三次元データは、馬冑の構造や製作技法を精緻に表現しており写真と比べて情報量が多く、また実測図の様に作成者の意図や技量による恣意的な情報が一切排除された極めて客観的な情報となっている。馬冑の様に移動を伴う調査研究が困難な考古資料において、類似資料との比較検討に極めて有効である。
|