2017 Fiscal Year Research-status Report
クラウドサイエンスの整理と分析:インターネットを活用した新しい博物学の試み
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17K12966
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一方井 祐子 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (00709214)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クラウドサイエンス / 市民科学 / シチズンサイエンス / オープンサイエンス / 市民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、国内外におけるクラウドサイエンスの効果的な仕組みを実証的に検証することを目的としている。初年度は、文献調査・ウェブ調査等により、国内外のクラウドサイエンスのプロジェクト事例を広く収集・分析した。また、「ナメクジ操作網」「雷雲プロジェクト」「みんなで翻刻」の3つのプロジェクトを本課題実施期間を通した参与観察の対象プロジェクトと定め、継続的に調査を進めた。上記3プロジェクトを含むいくつかのプロジェクトについては、KYOTOオープンサイエンス・ミートアップと連携し、プロジェクト主催者や関係者らを招いた勉強会およびワークショップを複数回実施した。これにより、プロジェクトの実施状況やプロジェクトが抱える課題をより詳細に収集することができた。その結果、多くのプロジェクトが「市民参加を促す仕組み」や「継続性」という点で課題を抱えていることが分かった。そこで、KYOTOオープンサイエンスワークショップ(2017年2月)では、参与観察の対象である「ナメクジ操作網」の主催者と連携し、市民参加を促す方法を考えるためのアイディアソンを実施した。その結果、プロジェクトのテーマ、開催場所、参加方法の3つの要素が市民参加を促すために重要であることが分かった。さらに、国内外の6つのクラウドサイエンスのプロジェクトを横断的に比較し、プロジェクトの継続性には「スーパーボランティア」と呼ばれる存在が重要であるという示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の当初目標であった事例をある程度収集したこと、また、初年度のうちに参与観察対象となる3つのプロジェクトが全て決まったことから、次年度以降の研究の準備が整った。このため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、初年度に開始した3つのプロジェクトを対象とした参与観察を継続する。さらに、国内外のプロジェクト企画者を対象としたアンケート・インタビュー調査を行い、(1)参加市民が収集・分類するデータのタイプ、(2)データの質を維持・向上させるための仕組み、(3)専門家と市民の連携体制、についての情報を収集する。得られた情報を横断的に比較し、クラウドサイエンスの「成功」に寄与する要因や効果的な仕組みについての新たな知見を得る。
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Causes of Carryover |
研究代表者に年度途中での所属変更があり、使用計画に若干の変更が生じた。初年度に予定していた参与観察のうち、インタビュー調査が未実施であり、かかる費用の執行が遅れている。これについては、次年度に実施予定である。
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