2017 Fiscal Year Research-status Report
南極内陸部におけるポリゴンの生成プロセスの解明と火星地表環境解明への展開
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17K12971
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小山 拓志 大分大学, 教育学部, 准教授 (30553581)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多角形土(ポリゴン) / 周氷河地形 / UAV-SfM測量 / 数値標高モデル(DEM) / 尾根谷度 / 南極 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,2015年12月~2016年1月にJutulsessen中西部に位置するVassdalenで実施したUAVフライト調査によって撮影した画像(計8,431枚:高度100m)をもとに,SfM解析によって,ポリゴン発達域(約3.2平方キロメートル)の詳細な数値標高モデル(DEM)とオルソ画像の生成を試みた。そして,得られたDEMを用いてGIS等による地形解析を実施した。それぞれの分析結果の詳細は以下の通りである。 1.ポリゴンの3次元形態 UAV-SfM測量によって,解像度0.12mのDEMと,解像度0.03mのオルソ画像を作成した。また,GISによって,0.12m-DEMから標高段彩図および斜度図を作成した。特に0.12m-DEMの生成によって傾斜角や傾斜方向,さらには日射量や等高線の作成まで,幅広い解析が可能となった。 2.ポリゴンの規模と分布 ポリゴンの規模と分布を明らかにするため,尾根谷度を活用して解析を行った。まず,0.12m-DEMで尾根谷度を算出したところ,DEMが高精度すぎて僅かな凹凸まで尾根や谷として算出してしまい,ポリゴンの形態をうまく抽出することができなかった。そこで,0.12m-DEMにおける8×8セル内の最高点を取り上げ,地形の不規則さが滑らかになるよう接峰面図を作成した(0.96m-DEM)。そして,0.96m-DEMから再度尾根谷度を算出し,尾根度が0より大きい場合には尾根(白),小さい場合には谷(黒)として二値化した。これにより,ポリゴンのリム(高まり)が尾根(白),トラフ(溝)が谷(黒)と表現され,ポリゴン一つ一つのおおよその形態を抽出することが可能となった。本研究では,ポリゴンのリム(尾根:白で表現)部分をポリゴンとみなし,その重心をポリゴンの位置としてプロットすることでその分布図を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に南極において取得していた高度100mから空撮した約9,000枚の画像を,計画通りSfMを使ってポイントクラウドの生成,三次元モデルの構築を行い,高精度の地形モデルおよび標高データを用いて歪みをなくした画像(オルソ画像)の生成に成功した。 地形パラメーターである尾根谷度を応用することにより,ポリゴンのリム(高まり)を尾根(白),トラフ(溝)を谷(黒)と表現することに成功し,ポリゴン一つ一つのおおよその形態を抽出することが可能となった。また,ポリゴンのリム(尾根:白で表現)部分をポリゴンとみなし,その重心をポリゴンの位置としてプロットすることで詳細な分布図を作成した。さらに,尾根谷度によってポリゴンの形態が概ね抽出できたことで,ポリゴンの規模(二値化した尾根(白)の範囲の面積)の算出も可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の成果によって,Vassdalenに発達するポリゴンの詳細な規模や形態,さらには分布までを把握することが可能となった。また,DEMが生成されたことで,地形面を区分する作業に着手し始めた。平成30年度は,年代の異なる地形面ごとに同一の基準でポリゴンの規模を比較し,トレンチ掘削や地中レーダーで得られている内部構造に関するデータの分析も進め,ポリゴンの発達過程を検討してゆく予定である。
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Causes of Carryover |
特殊なソフトウェアの使用に関して講習を受ける予定であったが,今年度は実施することができなかった。そのため,講習に関する人件費・謝金は来年度使用することとした。
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