2019 Fiscal Year Research-status Report
降水日変化特性のモデル再現性向上と降水擾乱に対する日変化の影響評価
Project/Area Number |
17K12975
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
足立 幸穂 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (50512448)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 降水日変化 / 数値シミュレーション / 局地気象 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の領域気候モデルでは、早朝や日中にみられる降水の極大時刻に観測とのズレがみられ、再現性に課題がある。本研究では、水蒸気輸送の観点から可降水量データをリファレンスとし、高解像度数値モデルを用いた感度実験を行うことで、降水の日変化を支配する環境要因について明らかにするとともに、数値モデルでの日変化再現性の向上を目指している。 降水の日変化は、西日本平均で、早朝と昼間の2回ピークが見られるが、正午頃のピークの落ち込みの理由について、早朝と昼間の降水駆動メカニズムが異なるためという見方と正午頃になんらかの抑制メカニズムが存在するという2つの見方ができる。今年度は、後者の視点にたって、降水の日変化に対する日射の直接的影響について調査を行った。 具体的には、領域モデル(SCALE-RM)を用いて、水平格子サイズ2km、鉛直層数60層で、2011年夏季の再現実験を行った。境界データにはGANALを用いた。ctl実験は、昨年度実施した実験(exp03)であり、日射はローカルタイムに応じて日変化する通常の再現実験である。感度実験として、ローカルタイムで00LSTから3時間おきに放射を固定した実験を行った。それぞれの実験結果を比較したところ、放射固定実験の結果から、降水量は日射量に応じて増加することが示された。つまり、12LSTの時に最も降水活動は活発となる。この結果は、日射の直接的な影響が降水日変化へ及ぼす影響は小さいことを示しており、局地循環などを介した間接的なプロセスが影響していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までは、計画段階で予定していた内容を実施してきたが、当初想定していた結果とは異なる結果が得られたため遅れが生じた。今年度は新たな視点での解析に着手したが、今年度中の成果発表が実施できなかったため、1年延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った実験結果をもとに、さらに詳細な解析を実施し、成果としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
1年間の延長に伴い、成果発表のための経費を繰り越した。成果発表としては、学会発表もしくは誌上発表を予定している。
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