2017 Fiscal Year Research-status Report
物的な都市密度に基づく客観的な既成市街地の画定方法の構築及び市街地縮退の評価
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17K12978
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薄井 宏行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70748219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 密度 / 街区 / 敷地 / 間口 / 確率密度関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,街区面積の確率密度関数の導出し,東京23区を対象に,物的な都市密度(街区密度(平均街区面積の逆数),道路延長密度,平均道路幅員等)の変化に対する確率密度関数の変化を感度分析した.街区形状は平面分割の一つと見なせるものの,規範的な平面分割に基づいた理論的研究はなされていない.本研究課題では,規範的な平面分割としてポアソンボロノイ分割に着目し,1)ボロノイ分割の生成元が一様ランダムに分布しない場合,2)ボロノイ辺が幅をもつ場合に拡張を行った.前者と後者を考慮することで,街区パターンの変化と道路幅員の変化が街区等の平面分割領域の面積の統計分布に及ぼす影響を記述できることを実証した. また,規範的な街区パターンとして,正方格子状パターンとその一般化を試みた.都市計画では,正方格子状の街区パターンを規範とする場合が多い.ところが,現実の街区パターンは多くの三叉路で構成され,街区の辺長も大小様々である.本研究課題では,正方格子状パターンを「崩す(一つの四叉路を二つの三叉路に分解する操作)」ことで,現実の街区パターンへの接近を試みた.三叉路の構成比が増加すると,街区パターンは多様となり,街区面積も多様となる.街区辺長を確率変数とするシミュレーションを行った結果,街区面積は対数正規分布に従うことがわかった. さらに,市街地を構成する敷地の形状分析を進めた.大小様々の敷地間口は総和として街区境界線の総和と一致する.このため,敷地間口の統計分布は,地域における道路延長(密度)と建物棟数(密度)のバランスに依存する点に着目した.閉曲線上におけるポアソンボロノイ分割としてモデル化することで,ガンマ分布と対数正規分布の適用を試みた結果,対数正規分布に従う傾向にあることがわかった. これらの成果は,審査付論文として国際誌や国内誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で詳述したように,平成29年度の進捗は当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
東京およびその近郊における街区データの整備を終えているため,街区面積の平均値を水準とする既成市街地と人口集中地区の相違を明らかにする予定.
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Causes of Carryover |
平成29年度に購入予定のデータを平成30年度に購入する予定.
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Research Products
(14 results)