2018 Fiscal Year Research-status Report
物的な都市密度に基づく客観的な既成市街地の画定方法の構築及び市街地縮退の評価
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17K12978
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
薄井 宏行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70748219)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 既成市街地 / 密度 / 人口集中地区 / scaling / 居住誘導区域 / 都市のスポンジ化 / 平均費用最小化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,建物の分布に基づいて既成市街地を画定する方法を構築し,既存の既成市街地である人口集中地区(densely inhabited districts(DID))との比較分析を精緻に行った.両者はそれぞれbottom-up approachとtop-down approachに分類される. 我が国の市町村は,既成市街地の縮退を促すために,居住誘導区域等の設定に取り組んでいる.本研究が提案する既成市街地の画定方法は,①既成市街地を構成する最小な空間単位である建物を基礎とし,②ある建物の最近隣に位置する建物までの距離の総和に比例する都市運営の可変費用を定式化し,建物棟数に依存しない集落間を結ぶ幹線道路網に比例する費用を固定費用として定式化し,③前述の最近隣距離の閾値を平均費用最小化問題の解として定義することで,既成市街地の形態と都市運営費用の関係を明示的に分析することに成功した. また,集落を構成する建物棟数はpower lawに従うことを確認し,既往研究が提唱する'head/tail division rule'に基づき,集落を構成する建物棟数に基づいて集落の空間階層を定義した.その結果,既存のDIDは大小様々の集落と共通部分を有する一方で,同程度の建物棟数であるものの,DIDに含まれない場合もあることを確認した.これらの結果は,今後より詳細に居住誘導区域を設定する際の基礎になると考えられる.さらに,上述の集落について,空き地が空間的・時間的にランダムに発生・蓄積しているかどうかを検証する方法を構築することで,都市のスポンジ化を評価することも試みた. このように,都市の縮退という現象に対して,①既成市街地を画定する方法,②既成市街地内においてスポンジ化の進行を評価する方法を構築することができた.これらの成果は,国際誌にて審査中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に既述のとおり,市街地縮退の評価に向けた方法の構築を終えているため.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は本研究課題の最終年度であるため,学術論文としてまとめたうえで,審査付論文として掲載を目指す.
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Research Products
(16 results)