2021 Fiscal Year Research-status Report
サービス提供者を加味した待ち行列ゲームによる混雑緩和策の評価:理論・実験分析
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17K12980
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 恵美子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 待ち行列 / ゲーム理論 / シミュレーション / 実験室実験 / 限定合理性 |
Outline of Annual Research Achievements |
長引く新型コロナウィルス感染症の影響により、引き続き研究計画を調整して実施した。 実験研究については、対面による実験室実験の再開は困難なため、令和元年度に実施した実験室実験の追実験については再度延期した。一方、実際の店舗等の混雑を観察して理論の検証をおこなうフィールド実験については、社会状況を見て実施する予定で実験機器を準備した。しかしながら、、新型コロナウィルスの影響により計測に適した環境が得られないため、実験の実施自体は見送った。 理論研究に関しては、以下2点の研究を実施した。ひとつ目は、時間帯予約システムの検討のため、客の到着方式を定数とした理論モデルとその均衡導出アルゴリズムの構築を試みる研究である。ふたつ目としては、待ち行列ゲームにおいては従来、対称ナッシュ均衡をもとめることで混雑状態の評価をしているが、それに対して、客の限定合理性を加味した均衡の導出をおこなった。この限定合理性を導入した均衡による分析は、実験研究が滞っていることに鑑みて当初の研究計画を変更して新たに導入した要素である。 いずれの理論研究でも、客の到着がポアソン分布にしたがう従来の待ち行列ゲームのナッシュ均衡よりも、より令和元年度に実施した実験結果に近い到着時刻分布が得られた。このことは、到着客数への複雑な予想ができない、あるいは客の行動様式そのものが完全合理的でないといった、ある種の限定合理性をモデルに取り入れることで、現実社会で起こりうる帰結に近い予測ができることを示唆している。この検証のため、結果の一般化や、追実験やシミュレーションによる検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、新型コロナウィルス感染症の影響により、対面での実験室実験が実施困難であったことに加えて、フィールド実験により実際の施設における混雑状況を調査し理論結果等と比較することが非常に困難であった。当初の研究計画を変更して限定合理性をモデルに取り入れた分析を進めることで新たな知見が得られたが、新たに得られた結果を検証するための実験室実験は実施できていない。本研究課題では、理論研究と実験研究とをバランスよく進めていくことを前提としていたが、理論研究に対して実験研究から検証をおこなうプロセスが新型コロナウィルス感染症の影響で滞ってしまっているため、全体として、進捗状況はやや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に得られた理論結果の拡張を試みるとともに、社会状況に注視しつつ可能な状況になり次第、実験室実験を実施して理論検証を進める。また、客の到着が定数であるモデルの一般化、およびそのモデルを多段にすることで、時間帯予約システムを分析できるモデルを構築していく。さらに、限定合理性を導入した均衡分析とシミュレーション結果との関係を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
フィールド実験に関する機器を令和3年度内に準備したため、大幅な繰越はなかったが、実際に実験実施までは至らなかったため不使用額が発生した。研究成果発表のための論文の校閲費用や、学会参加費および出張旅費に充当する予定である。
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