2017 Fiscal Year Research-status Report
3D配置問題に対する構築型解法の開発および現実問題への応用
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17K12981
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
胡 艶楠 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (00778326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 配置問題 / パッキング / 組合せ最適化 / アルゴリズム設計 / 厳密解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず2次元(2D)図形配置問題に対する研究し,そして,直方体配置問題に対する研究成果の知見を利用して,2D図形配置問題の解法を3次元物体配置問題に拡張することを検討する. まず,ビットマップ形式で入力された2D図形のストリップパッキング問題を考える.ビットマップ形式は粒度を細かくして多くのビットを用いて図形を表現すれば高い精度で任意の図形を表現でき,一般の形状を対象とするパッキング問題を高精度で近似的に解くことが出来る.一方,図形形状の近似精度を高めるためにビット数を多くすると,各軸のビット数に対して全体のビット数は2乗のオーダーで増加するため,計算量が大きくなってしまう.本研究では,ビット数が増えても図形を表現するデータ量がこのように大幅に増えないような表現方法を提案した.とくに,入力された図形がy単調であるという性質を満たす場合は各軸のビット数に対して図形を表現するデータ量が線形オーダーでしか増えないことを証明した.これらを用いた構築型解法を提案した. 次は,厳密解法の研究により,配置問題の性質を見抜けるため,曲線を含む図形垂直もしくは水平線分で描かれるレクトリニア図形に対する厳密解法を提案した.レクトリニア図形を長方形の集合で表現できるため,図形の重なりを容易に判定することができる.本研究では,まず,レクトリニア図形を幅1の長方形に分解し,分解されたそれらの長方形の相対的位置を緩和した配置問題を考え,整数計画問題として定式化した.この緩和問題を解くことで,元問題の下界を得ることができる.さらに,緩和問題の解を利用し,元問題の上界を求める手法を提案した.そして,これらの手法を用いた厳密解法を提案した.ベンチマーク問題例に対する計算実験を行い,提案手法の効果を確認した.また,いくつの問題例に対しては最適解を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定とおり,2次元(2D)図形配置問題に対する研究を行った.まず,図形を効率よく表現方法を提案した.その結果,入力された図形がy単調であるという性質を満たす場合は各軸のビット数に対して図形を表現するデータ量が線形オーダーでしか増えないことを証明した.その結果を利用し,高効率の構築型解法を提案し,ベンチマーク問題例に対する計算実験を通して提案手法の効果を確認した.既存研究では100個程度の図形の配置に1200秒以上かかるのに対し,本研究の手法は,図形数が約1万個ある問題例に対しても100秒以内で良質の解を構築できた. なお,レクトリニア図形配置問題の性質を分析し,厳密解法を提案した.まず,レクトリニア図形を幅1の長方形に分解し,分解されたそれらの長方形の相対的位置を緩和した配置問題を考え,整数計画問題として定式化した.この緩和問題を解くことで,元問題の下界を得ることができる.さらに,緩和問題の解を利用し,元問題の上界を求める手法を提案した.上界を求める際に,分枝限定法と動的計画法を組み,計算時間を削減した.これらの手法を用いた厳密解法の性能を,ベンチマーク問題例を用いて計算実験で検証した.いくつの問題例に対しては現実的な時間で最適解を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これから,以下の3点で研究進める. a. 2D図形配置問題に対する知見を用いて, 3D物体配置問題の研究を行う.任意の物体はレクトリニア多面体に近似することは可能であるが,その近似の精度に応じて,アイテムを表現するための複雑度が高くなる.開発する解法の性能が,このような複雑度の増大に敏感にならないようにアルゴリズム上で主にデータ構造の面からの工夫を行う.解法としては,何も配置されていない状態から始めて, アイテムをひとつずつ配置していき, 最後に解を得るという構築型解法を開発する.解法の計算過程で動的に変化するアイテムの配置を効率よく保持するデータ構造を設計して,計算時間を削減する. b. 3D物体配置問題の解法の高速化を行う.高速な計算時間を実現するには,アルゴリズム上での高度なデータ構造の工夫など,新たな着想が必要である.これまでの研究成果に,2D配置問題の解法に対して提案した高度なデータ構造を参考にして,高速な実現法を開発する. c. 社会に現れる実際の問題への適用:現実へ応用するために,3D物体の配置に対する複雑な制約を考慮した問題を厳密にモデル化することが必要である.また,複雑な問題を直接取り扱うのは難しいと予想されるので,これまでの研究成果に,複雑な制約を持つ直方体配置問題に対して実施したような,問題を段階的に解いて行く手法を検討する.
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Research Products
(10 results)