2018 Fiscal Year Research-status Report
スパースモデリングによる重要シナリオ抽出:地震被害推定におけるシナリオ爆発の制御
Project/Area Number |
17K12997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 芳樹 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (70794296)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統合被害推定 / マイクロジオデータ / スパースモデリング / Lasso |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,①倒壊・火災・津波による被害を詳細かつ統合的に推定できる環境構築し、②多数シナリオに基ずく重要シナリオ抽出手法のアルゴリズム開発の検討を行った。 ①に関しては、建物や人単位で倒壊・火災・津波の各事象を統合して人的・物的な被害推定を行った. 物的被害に関しては,揺れと津波による建物倒壊と火災焼失による被害を対象として推定を行った. 人的被害に関しては,倒壊・火災のみと津波を加えた2パターンで推定を行った. また人口分布の初期位置を15分単位で変動させてシミュレーションすることにより35万シナリオの計算を行った. 倒壊,火災,津波で約35万シナリオと膨大な数を可能にした. 以上によりマイクロジオデータを用いることで建物単位・人単位の非集計分析が可能になり, 高度被害推定モデルを導入できる環境が構築された. ②に関しては、本研究目標である重要なシナリオ抽出に向けて、幾つかのスパースモデリング手法の検討を行った。具体的には、一部の被害推定データを用いて最大被害量を5次メッシュ単位で計算し、スパースモデリングを適用した。スパースモデリング手法は、Lasso, Group Lasso, Adaptive Lassoなどを用いた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画のうち,建物データや人流データ(入力データ)の作成は,すべて予定通りに実施できた.また地震、津波、火災による統合シミュレーションに関しては、物的被害に関しては南海トラフ沖地震を想定した地震動と津波シミュレーション結果をインプットした上で、既往モデルを適用することによって被害推定可能になった。人的被害に関しては、MASを利用したモデルの検討をした。これにより、また本研究の肝でもある多数シナリオからの重要シナリオ手法の検討についても行った。具体的には、スパースモデリングのLassoなどにより各メッシュの最大被害に対して各シナリオの感度を算出すること重要シナリオ検出についても検討できた.以上より,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,スパースモデリングによる被害評価をする。すなわち推定結果を統計的分析することで地域ごとの重要な被害・シナリオを求める. はじめに、平成30年度の計画で推定した多様シナリオからリスク分布を明らかにする. 次に各シナリオの尤度を計算することで地域(メッシュ) ごとにリスク分布を求め, 重要被害量(最大被害量,平均値以上の最尤被害量, 最尤被害量) を推定する. 最後に地域ごとに求めた重要被害量からそれらを説明するシナリオをスパースモデリングから抽出することを提案し,手法の有効性を示すことを計画している.
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Causes of Carryover |
当初購入予定であったサーバーの購入について、大学施設内の大規模計算機システムを用いて計算したため、その金額分だけ次年度利用額が生じた。 それらについては,次年度において論文投稿などで利用する計画である。
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