2018 Fiscal Year Research-status Report
自然災害の経済被害に関する時間・空間連続性を考慮したシミュレーション手法の研究
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17K13004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 雅人 名古屋大学, 減災連携研究センター, 寄附研究部門准教授 (60628981)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 応用一般均衡モデル / 交通シミュレーション / 産業連関表 |
Outline of Annual Research Achievements |
交通ネットワークを明示的に導入することで,地域間の空間的連続性をより現実に即してモデル表現することが可能となる.また地域間交易の代替の弾力性を,本来の地域間の財の異質性を表現するパラメータとして適切にモデルに組み込むことができる. 以上の理由から,2018年度は,ノードとリンク,交通容量等を設定した交通ネットワークモデルを構築した.利用者均衡配分に基づく交通均衡モデルと多地域応用一般均衡モデルと統合し,3地域2部門の輸送費用を内生化した多地域応用一般均衡モデルである.2020年度は47都道府県間表を用いて政策評価に利用できるモデルを構築する. 災害のハザード(地震であれば地震動や津波浸水等)は場所によって大きく異なる.こうしたハザードに曝される産業構成も地域によって異なる.空間的な連続性という意味では,詳細な地域区分が望ましい.愛知県を対象に市区町村間産業連関表を開発した.市区町村の産業別生産額は経済センサスに基づき初期値を設定し,交易データについてはグラビティモデルに基づき初期値を推定した.その後に制約付き誤差最小化問題を解くことにより産業連関表の整合性を確保した. 時間的連続性の点では,不均衡要素の導入を検討した.具体的にはモデルのいくつかのクロージャ―ルールの比較検討を行った.災害の経済影響評価において標準的な一般均衡モデルを適用すべきかあるいは不均衡モデルを採用すべきか議論がある.2020年度は部分的な不均衡要素をモデルに導入する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
空間的な連続性を確保する意味において,利用者均衡配分原理に基づく交通均衡モデルと応用一般均衡モデルの経済均衡モデルの両者を接合した統合評価モデルの構築を行った.ただし伝統的なIceberg型輸送費用モデルの多地域応用一般均衡モデルへの導入には問題があることが分かり,モデル構造の変更を行った.そのため当初の予定よりモデル構築に時間を要した.なお上記直面した問題については学会発表および論文執筆・査読付き論文投稿を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
利用者均衡配分原理に基づく交通均衡モデルと応用一般均衡モデルの経済均衡モデルの統合研究を進め,多地域応用一般均衡モデルにおける空間的連続性をより現実に即した形で表現する研究を進める.また災害の経済影響評価は物理的時間の意味において各期が短い方が望ましい.短期の減少を説明する上で合理的なモデルのクロージャ―ルールについて継続して検討する.また市区町村間レベルでの地域間産業連関表についても引き続き研究を進める.
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Causes of Carryover |
ハードウェア設備について研究を進める中で必ずしも購入する必要が無いと判断されたもの等があったため.今後は成果の論文化に向けて,研究協力者と積極的に打合せを行うため,国内出張回数が増える見込みである.
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