2018 Fiscal Year Research-status Report
Viscoelasticity analysis algorithm of blood vessel for clinical application with ultrasonic-measurement-integrated analysis
Project/Area Number |
17K13017
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
門脇 弘子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (30781330)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 血管特性推定 / 弾性円筒シェル / 連成波動理論 / 波動特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動脈硬化の機序や進展を考える上で重要な情報である生体内の血管特性を再現するため、複雑な実血管の力学的挙動を表すモデルの定式化により超音波計測融合解析による圧力と形状変形の情報をもとに血管特性を推定することを目的とした。平成30年度は、前年度に導出した厚肉円筒弾性シェルの動的モデルの検証を行うとともに、先行研究で問題となった慣性項のパラメータの精度について原因を調査した。また、血流の血管動特性に与える影響について関連研究より報告があり、血流の血管に対する壁せん断応力を考慮した弾性円筒シェルモデルの波動特性を導出し、このモデルの弾性特性および密度の推定精度を検証した。 まず、関連研究の血管-血流連成波動理論に基づき弾性円筒シェルモデルの波動特性を導出した。さらに、先行研究の拍動実験で用いたゴム材料(S500とNR-Latex)の混合比を変えた5種の弾性円筒管を対象として、角振動数を与えて波動特性を定めた。測定データの圧力値と波動特性をもとに血管変形を算出しつつ、多次元変数の最適化手法により血管変形が測定データと最も一致する血管弾性および密度の推定を行った。 結果として、弾性率はS500100%では97%、NR-Latex100%では78%の精度で推定され、他の混合比の推定精度については、いずれも78%~97%の範囲で推移した。密度は全ての材料で実験値よりかなり小さい値で推定された。密度の推定精度の要因として、実験モデル作成時の管の厚みの不均一性および血管モデルを無限遠長と仮定していることによる影響が検証結果より示唆された。今後は、実験で作成した血管に合わせて有限長として境界条件を与えて連成系の振動解を導出することで、密度の推定精度を再検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一身上の都合により研究を一時中断していたため。また、関連研究の報告により新たに導入した血管-血流連成モデルに関する検討を実施したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の血管-血流連成モデルを基に境界条件の検討を行いつつ、主に血管の弾性率分布の推定手法の確立を目指す。また、引き続き超音波計測融合解析の圧力の再現性に関して各種解析パラメータによる影響を検証する。
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Causes of Carryover |
研究を一時中断したことから、その期間の出張費および研究費用を次年度に持ち越す必要が生じたため。次年度の繰り越し分は、主に出張費と英語論文の投稿費および校正費として使用する予定である。
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