2020 Fiscal Year Research-status Report
Viscoelasticity analysis algorithm of blood vessel for clinical application with ultrasonic-measurement-integrated analysis
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17K13017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
門脇 弘子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 産総研特別研究員 (30781330)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管弾性 / 圧力方程式 / 対流項 / 有限要素法 / 逆問題解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動脈硬化の機序や進展を考える上で重要な情報である生体内の血管特性を再現するため、複雑な実血管の力学的挙動を表すモデルの定式化により、超音波計測融合解析による圧力と形状変形の情報を入力条件として血管特性を推定することを目的とした。令和2年度は、前年度の血管に与える血流の力学的作用である圧力場再現に関する課題遂行、および血管弾性推定アルゴリズムの基礎検討を実施した。 超音波計測融合解析における圧力場再現においては、圧力補正の方程式に含まれる対流項の精度検証を数値実験により実施した。フィードバックゲインの対流項と圧力場の再現性への影響を調査したところ、対流項の発散はゲインの増加とともに向上し、圧力場は低下することが明らかとなった。以上の結果より、圧力方程式の非線形性において、フィードバック項の増大にともなう補正精度の低下が懸念されたため、解析後の速度場から求まる対流項により直接圧力方程式を解くことで圧力場を算出することを試みた。その結果、解析対象の圧力場をよく再現しており、ゲイン増加による再現精度の低下は見られなかった。 血管弾性推定アルゴリズムにおいては、血管の複雑形状に対応可能な有限要素法の逆問題解析による弾性率分布推定を検討し、弾性率変化を有する軸対称弾性円筒モデルによる数値実験を試みた。一定圧力が血管内に付加された状態の変形を想定し、静的な順解析で得られた管変位をもとに逆解析による弾性マトリックスの算出を行った。その結果、管変位に付加されたガウシアンノイズの一定の標準偏差までは弾性率分布の良好な再現性を示すものの、それ以上では大幅な再現性の低下が見られた。以上より、一定以上の計測精度が不可欠であることが明らかとなった。 これらの成果は、本研究の方向性を提示するとともに、実用化に向けた問題の明確化に資するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画において、一般化粘弾性シェルモデルによる弾性率推定を予定していたが、ヒト血管の複雑な幾何形状に適用するにあたり解析手法の再検討を行った。新たな解析手法の構築および検証により、当初予定していた実流れに対する実験検証までは到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波計測融合解析における圧力場再現は、対流項による圧力場の算出方法において、解析条件による影響を加味した精度検証を試みる。有限要素法の逆問題解析による弾性率分布推定は、血管周方向の変位成分や拍動血管に対応する動的解析の導入により、実血管への適用に向けた改良を進める。現在、超音波計測の拍動実験システムの設置準備を進めており、圧力場も含めた実流れに対する解析アルゴリズムの精度検証を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う出張の取り止めのため。次年度は延長を行わないため、返還予定である。
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